2006 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性を付与した温度応答性培養皿の創製と組織再生への応用
Project/Area Number |
04J53141
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
畠山 英之 東京女子医科大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | RGDS / Insulin / 温度応答性表面 / リガンドパターン固定化 / 時空間制御 / 細胞シート工学 / 再生医療 |
Research Abstract |
筆者の所属研究室では、臨床応用に向けた温度応答性表面上での細胞シート構築の高速化およびウシ血清などの異種動物由来成分を不要とする新規培養法の確立を目指し、RGDS固定化、Insulin(INS)固定化、あるいはRGDS-INS共固定化表面をそれぞれ作製した。これらを用いた血清非存在下での細胞接着、増殖能の賦活化に成功している。本研究では、温度応答性表面上にRGDS-INSを共固定化したドメインのパターン化構造を作製し、リガンドドメイン(LD)選択的な細胞接着、増殖活性の向上を検討するとともに、微細な三次元組織構築に向けたパターン状細胞シートの構築、回収を目指した。 血清存在下での細胞接着、増殖挙動を解析した結果、血清中の接着タンパクや増殖因子などが表面全体に吸着し、細胞は表面全体に接着、増殖した。培養後、降温処理(37℃→20℃)に伴う細胞脱着挙動を追跡すると、すべての接着細胞は脱着するが、LD上の固定化RGDSと細胞膜上の受容体との相互作用の影響で脱着が抑制され、非LD上の細胞が優先的に脱着した。 血清非存在下での細胞接着、増殖挙動を解析した結果、LD上の固定化RGDSとINSによる顕著な細胞接着性の向上と細胞増殖の加速化が認められ、細胞はLD上に優先的に接着、増殖した。LD上で長期培養すると、細胞は次第に非LD上へと遊走し、表面全体でコンフルエントまで増殖した。一方、LD選択的に培養後、パターン形状を維持した細胞シートを剥離・回収できた。 本研究で作製したリガンドパターン化温度応答性表面は、LD選択的に細胞接着、増殖能を賦活化しうる高機能性を有することが示唆された。血清非存在下、細胞をLD選択的に培養後、パターン形状を維持した細胞シートを剥離・回収できた。本研究結果から、再生医療に向けた微細な三次元組織構築法の確立に対し、極めて重要な基盤技術を構築したといえる。
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Research Products
(2 results)