2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J53161
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 淳一 東京理科大学, 理工学研究科建築学専攻, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 耐火性能 / 耐火設計 / 耐震設計 / 耐震性能 / 応力再配分能力 / リダンダンシー / 火災 / ロバスト性 |
Research Abstract |
耐震設計においては、構造全体の強度ばかりでなく塑性変形能力やエネルギー吸収能力をも的確に評価可能であり、それらが設計実務に反映されている。一方、現行の耐火設計は、部材単体の崩壊防止や耐火被覆の設計が主眼であり、耐火性能向上に寄与する構造特性を見出し、それらを耐火設計に反映するような研究成果も少なく、構造全体の耐火性能を的確に評価し得ないのが実情である。耐火設計は、本来、部材の耐力が部材温度の上昇にともなって劣化するという条件下において、重力に対する抵抗力を架構に問うものである。したがって、架構全体の構造性能の優劣がその耐火性能にも影響を及ぼすと考えるのは必然であり、架構全体の構造特性を考慮した耐火設計の枠組を構築できれば、構造的に優れた架構の場合には、耐火被覆の軽減が可能となるなど、従来までの耐火被覆のみに頼った設計よりも、耐火設計上の自由度を向上できると考えられる。本研究では、架構全体の構造性能を考慮した耐火設計の構築を指向し、架構の理論崩壊温度の導出、耐震設計を施した架構に対する火災応答解析によって、耐震性能と耐火性能の関係を明確にし、以て、両者の調和を図るための基礎的知見を得ることを目的とした。研究により、架構に耐震設計を施すことは、直接的に応力再配分能力、柱断面性能の向上を意味しており、それにより、ある一定程度の耐火性能の向上を確保できるが、耐震設計の自由度に応じて、耐火性能の向上量は変化することが明らかとなった。地震時に梁崩壊型を指向した場合、架構の有する耐震性能は、β(架構の幾何学的要素、ベースシア係数を考慮しうるパラメータ)の大きさに依らず耐震設計上の要求性能を満足する。しかしながら、架構に要求される性能を一面的、耐震性能のみをもって捉え、過度に塑性変形能力に期待した設計では、βは小さくなり、架構の崩壊温度が低下する危険性があることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)