2004 Fiscal Year Annual Research Report
水産無脊椎動物セルラーゼの酵素工学的活用に関する研究
Project/Area Number |
04J54021
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 賢一 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | セルラーゼ / アワビ / ウニ / ホタテ / 酵素 |
Research Abstract |
本研究では、水産無脊椎動物セルラーゼの酵素特性および一次構造、遺伝子構造を解析することを目的としている。 各種水産無脊椎動物セルラーゼの精製 アワビ、ホタテガイ、キタムラサキウニの水産無脊椎動物セルラーゼの精製方法を確立した。 アワビ・セルラーゼ アワビの消化液をアワビ内臓より駒込ピペットで採取し、これを緩衝液で透析後、遠心分離を行い上清を得た。この上清を陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィー、ゲルろ過カラムクロマトグラフィーに供しセルラーゼを精製した。 ホタテ・セルラーゼ アワビ・セルラーゼと同様の方法でセルラーゼを精製した。 キタムラサキウニ・セルラーゼ アワビやホタテに比べて消化管が小さく、破損しやすいため同様の方法では消化液を採取することはできなかった。そこでキタムラサキウニの内臓組織からアセトンパウダーを調製した。このアセトンパウダーから緩衝液で可溶性成分を調製して、これを陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィー、ゲルろ過カラムクロマトグラフィーに供しセルラーゼを得た。 酵素特性の分析 アワビ・セルラーゼの性質 アワビ・セルラーゼの至適温度は約40℃であり、既知の細菌等に由来する酵素よりも低温で高活性を有する酵素であることが示された。また、至適pHは6.3であり酸性域で至適pHを示す既知の酵素とは異なることが示された。 キタムラサキウニ・セルラーゼの性質 キタムラサキウニ・セルラーゼの至適温度は約35℃であり、アワビ・セルラーゼとほぼ同様であった。至適pHも約6.5で同様であった。しかしながら、キタムラサキウニ・セルラーゼはpH9.5でも至適pHの60%以上の活性を有し、明らかに一般的なセルラーゼとは異なる性質を有していた。
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