2004 Fiscal Year Annual Research Report
休眠越冬に関連したコガタルリハムシの活動期特異的タンパク質の分子機構
Project/Area Number |
04J54031
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Research Institution | Iwate University |
Research Fellow |
藤田 幸輔 岩手大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コガタルリハムシ / 休眠越冬 / 活動期特異的タンパク質 |
Research Abstract |
昆虫の成虫休眠越冬の分子機構を解析するためには、コガタルリハムシの生活環が適切な素材となっている。すなわち、コガタルリハムシは羽化後数日で潜土し、約10ヶ月間の成虫休眠越冬をおこなう。この休眠は遺伝的に確定した休眠であり、その期間内に夏の高温と冬の低温に耐える生存戦略を展開している。この休眠に関して、活動期特異的タンパク質(71kDa)の発現をノックアウトすることにより、休眠行動を制御できることから、休眠の導入と覚醒に活動期特異的タンパク質が重要な役割を果たしていることが示唆される。そこで、このタンパク質の生体内における新規の機能を明らかにすることで、昆虫から休眠越冬の新しい理解を提案することを目的に研究を行ない、以下のような新しい知見を得た。 1.休眠越冬から覚醒後の生殖ステージへの迅速な移行における活動期特異的タンパク質の役割を解析するため、冬期間の野外での変動を調査した。その結果、1〜3月の越冬個体において、このタンパク質が発現していないことがわかった。しかしながら、夏期間の休眠期にはないmRNAの存在は確認できることから、mRNAが低温で誘導され翻訳レベルの制御をうけていることが示唆される。 2.活動期特異的タンパク質はセルラーゼ様タンパク質であることから、β1-4グルコシド結合を持つ数種のCellodextran (Cellotriose, Cellotetraose, Cellopentaose)を用いて詳細な解析を行なったが酵素活性は認められなかった。そこでアミノ酸配列データを詳細に検討したところ、セルラーゼとは異なるいくつかの酵素機能が類推された。現在、この酵素活性の解析を進めている。
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Research Products
(1 results)