2005 Fiscal Year Annual Research Report
休眠越冬に関連したコガタルリハムシの活動期特異的タンパク質の分子機構
Project/Area Number |
04J54031
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Research Institution | Iwate University |
Research Fellow |
藤田 幸輔 岩手大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コガタルリハムシ / 休眠越冬 / 活動期特異的タンパク質 / キチナーゼ |
Research Abstract |
昆虫の成虫休眠越冬の分子機構を解析するためには、コガタルリハムシの生活環が適切な素材となっている。すなわち、コガタルリハムシは羽化後数日で潜土し、約10ヶ月間の成虫休眠越冬をおこなう。この休眠は遺伝的に確定した休眠であり、その期間内に夏の高温と冬の低温に耐える生存戦略を展開している。この休眠に関して、活動期特異的タンパク質(71kDa)の発現をノックアウトすることにより、休眠行動を制御できることから、休眠の導入と覚醒に活動期特異的タンパク質が重要な役割を果たしていることが示唆される。しかしながら、活動期特異的タンパク質が生体内においてどのような生理作用で休眠行動に関わっているのかは、残された大きな問題となっていた。そこで、このタンパク質の生体内における新規の機能を明らかにすることで、昆虫から休眠越冬の新しい理解を提案することを目的に研究を行なった。 活動期特異的タンパク質はセルラーゼ様タンパク質であるものの、セルラーゼ活性は認められない。そこで新たにアミノ酸配列データを詳細に検討したところ、セルロースとは異なるβ1-4グルコシド結合に対する酵素機能が類推されたため、酵素活性の解析を行なったところ、活動期特異的タンパク質がキチナーゼ活性を持っていることが明らかになった。キチンは昆虫の表皮の主要な構成成分である。また、その体液中の存在量はホルモン濃度と連動しており、脱皮を始めとする昆虫の生活史に深く関わっている。そのため、キチン代謝は昆虫の生命維持において重要な位置にあると考えられる。現在、活動期特異的タンパク質の酵素活性の詳細な解析を進めている。
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Research Products
(1 results)