2005 Fiscal Year Annual Research Report
自発的結社による市民的公共圏の形成-18〜19世紀コンパニョナージュと手工業社会
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04J54061
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鹿住 大助 千葉大学, 大学院・社会文化科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ギルド / 同業組合 / リヨン / 結社 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、18世紀フランスのギルド制度に注目しながら、研究をすすめてきたが、特に都市リヨンにおけるそれに注目することで分析対象の明確化を図った。史料はリヨン市文書館での調査を通じて、各職種別のギルド規約や議事録、メモワール、違反者報告書、などを収集した。 ギルドはアンシャン・レジーム期に、王権・領主・都市などの承認を受け、生産・取引の規制を行って親方間の競争を制限し、コンフレリの活動を通じて構成員間の相互扶助を行うなど、制度化された結社のひとつとして存在していた。また、承認を受けない自由ギルドも多数存在したが、自由都市リヨンの多くのギルドは都市の商人頭と市参事会員から成る市参事会の承認を受けた規制ギルドであり、王権から一定の距離を保っていたとされる。しかしながら、本研究が注目する18世紀には、リヨンの中心的産業である絹織物業に従事する者、および絹織物に関連する業種に従事する者が、都市住民の多数を占めており、この絹織物業ギルドは王権によって承認を受けた宣誓ギルドであった。 本年度は、この絹織物業ギルドに特に注目し、他の業種のギルドと比較した上での絹織物業ギルドのリヨンにおける特殊性、および18世紀にその内部に社会階層間の分断が生じ、これが1830年代の絹織物工蜂起へとつながっていったことを千葉大学大学院における全体研究会で2回に分けて報告した。 最終年度となる次年度は、絹織物業ギルド内の社会階層間の分断の結果、18世紀から19世紀にいかなる事態が生じていたのかを、違反者報告書の史料を中心に実証分析すること、および、所属するCOEプロジェクトテーマとの関連から、絹織物業者の社会におけるギルドとは異なる結社の生成とその運動に注目し、フランスの労働の場における自発的結社形成の展開と公共性をテーマにした研究成果を発表することを目指し、研究を深めていきたい。
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Research Products
(1 results)