2004 Fiscal Year Annual Research Report
顧客満足度生成メカニズムの解明による経営成果への影響の定量化とその日米比較
Project/Area Number |
04J54091
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
池庄司 雅臣 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 顧客満足度 / 景気感バイアス / ACSI / 品質向上期待度 / Consumer Confidence Index / 充足能力 / スイッチングコスト |
Research Abstract |
消費者の顧客満足度という概念は、競争市場内における企業の経営戦略の在り方やその成果についての客観的指標にとどまらず、産業レベルでの市場間の動向についての比較、さらにはそれらを内包する国家レベルでの経済的背景に対しても大きな要因となっている。その最も特徴的な作用として、顧客満足度を構成する心理的要因およびその生成メカニズムに着目することで、株価に代表される当該時期の景気感に対して負の影響を受けるという「景気感バイアス」の存在がある。 これまでの研究では、顧客満足度の代表例であるアメリカのACSIおよび、日本の主要耐久消費財を対象に調査してきた品質向上期待度という尺度に基づいて独自に算出した顧客満足度の2種類を対象としてきた。それらの説明変数として、従来の株価等の経済指標群に加えて、日米の消費者の景気に対する心理的期待感を示す尺度であるConsumer Confidence Index(消費者態度指数)を用いた分析を行うことで、景気感バイアスに相当する因子が顧客満足度に対して作用する日米共通の最も大きな要因として抽出することができた。その上で、消費支出に基づいた充足能力や将来的な期待感などの存在から、景気感バイアスとは独立した正の影響を持つ因子も同時に抽出できたことから、顧客満足度の外的要因には両者の間で一定の共通性を示すことができた。 さらに、セクターレベルで算出したACSIについても分析することで、対象となる産業間で景気感バイアスによる影響の大きさに明確な差がある事も確認した。これは上述した正の因子とのバランスについて違いがあることを示唆し、その背景には市場ごとの企業間競争の激しさや、それに付随したスイッチングコストの高さによる差異があると考えられる。
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Research Products
(2 results)