2005 Fiscal Year Annual Research Report
顧客満足度生成メカニズムの解明による経営成果への影響の定量化とその日米比較
Project/Area Number |
04J54091
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
池庄司 雅臣 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 顧客満足度 / ACSI / 品質向上期待度 / 期待 / 知覚品質 / 景気感バイアス / 顧客属性 |
Research Abstract |
消費者の顧客満足度という概念は、競争市場内における企業の経営戦略の在り方やその成果についての客観的指標にとどまらず、産業レベルでの市場間の動向についての比較、さらにはそれらを内包する国家レベルでの経済的背景に対しても大きな要因となっている。本研究では主に、顧客満足度の代表例であるアメリカのACSIおよび、日本の主要耐久消費財を対象に調査してきた品質向上期待度という尺度に基づいて独自に算出した顧客満足度の2種類を対象としてきた。 これまでの研究から、顧客満足度の主な生成要因として「期待」と「知覚品質」を前提とした上で、それぞれに影響を与える先行要因の存在を突き止めた。ひとつは主に株価や消費者の心理的期待感に基づく景気感によって説明され、期待に作用することで負の影響を与える要因。もうひとつは収入や支出などの消費によって説明され、知覚品質に作用することで正の影響を与える要因である。 これら2つの先行要因の存在は日米の集合的な顧客満足度に対して共通して認められるものであり、特に負の要因については「景気感バイアス」として一般化されている。日本の顧客満足度についてはその指標の性質上、景気感バイアスの影響が非常に顕著であり、この影響を考慮することで企業の経営成果に対して正の関連性が示されている。 さらに顧客満足度そのものの大きさは、性別や年代といった顧客属性によって差があることがACSIによる調査からも報告されており、その原因として購買・使用経験の多寡が指摘されている。日本の満足度データについても、同様な分析を行うことで、ACSIと共通した傾向が示されており、さらには満足度指標の性質による差異についても考慮した知見を得ることができた。
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