2004 Fiscal Year Annual Research Report
内因性カンナビノイドによる大脳基底核の逆行性シナプス伝達調節とその機能的意義
Project/Area Number |
04J54131
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鳴島 円 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大脳基底核 / 線条体 / 逆行性シグナル伝達 / 内因性カンナビノイド / 抑制性シナプス / カンナビノイド受容体 / ムスカリン受容体 / アセチルコリン |
Research Abstract |
マリファナの活性成分の標的となるカンナビノイド受容体(CBR)とその内因性のリガンド(内因性カンナビノイド)は重要な逆行性シナプス伝達修飾機構のひとつである。内因性カンナビノイドはシナプス後細胞のG_<q/11>タンパク共役型受容体の活性化およびシナプス後細胞の脱分極に伴うCa^<2+>流入より合成され、シナプス前終末のCBRを介して伝達物質の放出を抑制すると考えられている。大脳基底核の入力部位である線条体はCBRが豊富に存在する部位のひとつであるが、その生理機能は未解明である。また、線条体にはG_<q/11>共役型であるM1ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)が高濃度で発現している。そこで研究代表者は、線条体の内因性カンナビノイドの機能およびアセチルコリン系との関係を明らかにするため研究を行った。 生後2〜3週齢のマウス線条体スライスを用い、電気生理学的手法により線条体の出力細胞であるmedium spiny(MS)ニューロンから興奮性および抑制性シナプス後電流(EPSC、IPSC)を記録した。mAChRアゴニスト(oxo-M)投与によりEPSC、IPSCは減弱し、IPSCに対する抑制のみがCBRのアンタゴニスト(AM281)により阻害された。また、MSニューロンを脱分極するとIPSCの振幅が一過性に減少したが、AM281により阻害された。mAChR活性化によるIPSCの抑制は、M1受容体の阻害薬であるpirenzepine投与、GDPβSによるシナプス後細胞のGタンパクの阻害、およびM1受容体ノックアウトマウスでは消失していた。以上の結果より、線条体でも内因性カンナビノイドはシナプス伝達の逆行性調節に関与していること、アセチルコリンはMSニューロンのM1受容体を活性化し、内因性カンナビノイドの合成・放出を引き起こすことが明らかとなった。
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