2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノビジョンサイエンスのための多光子吸収過程による半導体材料の3次元加工
Project/Area Number |
04J54161
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鳥澤 允 静岡大学, 工学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 2光子励起 / ワイドギャップ半導体結晶 / レーザーアニーリング |
Research Abstract |
近赤外フェムト秒レーザーをワイドギャップ半導体結晶に照射すると、2光子励起過程によりフォトルミネッセンス強度が増強されることを見出したので報告する。以前、励起光強度を高くすることによってフォトルミネッセンス強度が低くなる現象があり、フォトルミネッセンス強度の低くなる割合と位置を制御できることを報告してきた。今回は、逆にフォトルミネッセンス強度が高くなる現象を発見したので報告する。 まず、励起光強度を変えたときのフォトルミネッセンス強度の時間変化を測定した。励起光源には波長800nm,繰り返し周波数80MHz,パルス幅100fsのチタンサファイアレーザーを用いた。励起光強度が1.23MW/cm^2では、時間の経過とともにフォトルミネッセンス強度は減少した。これは以前報告したクエンチング現象である。一方、励起光強度が0.74MW/cm^2では、フォトルミネッセンス強度が時間の経過とともに増加した。励起光を300s間照射した後では、フォトルミネッセンス強度は20%以上増加した。励起光強度が0.99MW/cm^2、0.49MW/cm^2、0.25MW/cm^2の場合はフォトルミネッセンス強度は一定であった。これは0.99MW/cm^2ではフォトルミネッセンス強度が低くなる現象と高くなる現象が同時に起きて釣り合っている状態、0.49MW/cm^2以下では励起光強度が低すぎて何も起きていない状態であると考えている。 次に、励起光強度が0.74MW/cm^2のときに励起光を走査して、フォトルミネッセンス強度の高い領域分布を作製した。励起光を走査した位置は試料表面から10μmである。励起光はガルバノミラーで走査した。この領域を観察した結果、励起光を走査した部分のみフォトルミネッセンス強度が増加していた。この現象は、ワイドギャップ半導体結晶内部が局所的にレーザーアニーリングされた結果であると考える。
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