2005 Fiscal Year Annual Research Report
表面反応拡散ダイナミクスの微視的機構に関する理論的研究
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04J54171
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷野 哲之 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 表面 / アンモニア / 自由エネルギー勾配法 / CO酸化 / 振動現象 / パターン形成 / 分子動力学法 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
1、アンモニア分子の溶解及びイオン化反応機構 本研究では、気相中のアンモニア分子が水和し、さらに液相中でイオン化反応によってアンモニウムイオンへと変化する過程を追った。この過程は次の2つに分けられる。 (1)中性分子のアンモニア分子の気相から液相への溶解過程 (2)液相中におけるアンモニア分子からアンモニウムイオンへのイオン化反応過程 まず、過程(1)に関して、熱力学的積分法を適用した気液界面系でのアンモニアの分子動力学(MD)シミュレーションを行った。その結果から見積もられたアンモニアの水和自由エネルギーは実験値と良い一致を示した。また、その静電相互作用のプロファイルは、気液界面付近で極小値を持つことが判った。 一方、過程(2)に関して、自由エネルギー勾配法を用いた液相中のアンモニア-水分子対のQM/MM-MDシミュレーションから、その安定状態と遷移状態の構造最適化を行った。遷移状態では、ミクロな溶解内部エネルギーがイオン化反応の活性化自由エネルギーの安定化に大きく寄与していることが判った。計算された活性化自由エネルギーは、速度定数の実験値を用いた遷移状態理論から見積もられる値と良く一致する。また、誘電体モデルであるCOSMO法によって得られた構造との違いやそのエネルギー差の比較などを行った。 2、吸着分子の分圧変動によって現れる触媒反応の空間的なパターン形成 白金(111)表面上での一酸化炭素分子の酸化反応のモンテカルロシミュレーションを行った。表面の一部に欠陥を配置した。酸素分子の分圧は一定のまま、一酸化炭素の分圧を一定の速度で上昇させ、後に減少させたときの表面上に被覆した吸着分子群の分布を観測した。この系では、高反応性状態と低反応性状態とで状態間遷移が起こるが、それらの遷移が起こる一酸化炭素の分圧の値を実験と一致させるためには、表面上の欠陥の存在が不可欠であることが判った。
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Research Products
(1 results)