2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J54231
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中村 剛 琉球大学, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 維管束植物 / 系統地理 / サツマイナモリ / タイヤルソウ / チャボイナモリ / 国際情報交換 / 台湾 / 琉球列島 |
Research Abstract |
分子系統学解析の結果,サツマイナモリOphiorrhiza japonicaには(九州南部以北),(九州南部から中琉球),(南琉球から台湾)の3つの地理的まとまりが認められた.また各地域集団間の低温適応の分化程度を,光合成活性を指標に解析した結果,南琉球以南の集団が低温耐性を欠くことが示唆された.九州南部の遺伝的境界は,地理的障壁あるいは低温や土壌pHによる障壁を伴わず,2万年前の姶良火砕流による植生の破壊後,大隈以南集団により空洞ニッチが充填されたことによると推察された.南琉球産と台湾産の間には遺伝的近縁性が示され,これは両地域が長く地続きであった地史と一致した.南琉球と中琉球以北の遺伝的タイプは共通せず,これは両地域が地続きであった時代には緯度勾配による気温低下が,慶良間海峡成立後は地理的分断が,南琉球集団の北上を阻んだためと考えられた. 台湾固有単型属タイヤルソウ属Hayataellaについて台湾行政院Chung博士らと共同研究の結果,分子系統解析により本属はサツマイナモリ属に含めるべきことが明らかになった.この成果はJournal of Plant Research誌に投稿中である. 琉球列島産チャボイナモリOphiorrhiza pumilaの花形態と繁殖生態について台湾産との比較の結果,地理的変異について発表した. 奄美大島固有のアマミクサアジサイCardiandra amamioshimensisは,系統学的解析の結果,別種のクサアジサイの種内分類群とされるべきことを発表した. 与那国島と台湾に固有のヨナグニノシランOphiopogon reversusについて,同種とする見解のあるノシランとは細胞学的に明瞭に区別されることを発表した. 台湾におけるヘツカリンドウ類の標本調査の結果,同種とされることのある中琉球以北産よりも南琉球のシマアケボノソウとの近縁性が示唆された.
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