2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規固相不斉合成法の開発およびHIVプロテアーゼ阻害剤のデザインと合成
Project/Area Number |
04J54261
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小竹 智也 京都薬科大学, 薬学研究科, DC2
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Keywords | Evansオキサゾリジノン / ポリマー担持型不斉補助基 / 不斉合成 / 固相有機合成 |
Research Abstract |
HIV-1プロテアーゼは魅力的な抗エイズ薬のターゲットであると考えられているが、未だ副作用および耐性克服などの問題点が山積みである。これを解決すべく本研究では「プロテアーゼ基質の構造を一部変換することで酵素との強固な相互作用を形成させ、酵素活性部位周辺を断続的に遮断する」という独自の方法論を提唱し、これに基づいて独創的かつ実用的なエイズ治療薬の創製を目指している。本年度においては、分子モデリング的手法などによりイメージした酵-阻害剤間相互作用を具体化するために必要な光学活性合成素子を、幅広く迅速に調製可能な新規固相不斉合成システムの開発について、研究を展開した。 具体的には、まず、新たにデザインした固相担持型Evans不斉補助基の簡便合成について検討した。液相法によりあらかじめ調製したオキサゾリジノンを最後に樹脂と縮合する方法と、樹脂を出発物質に全工程を固相上にて行う方法を比較した結果、後者の反応条件を精査することにより不斉補助基樹脂の簡便合成法を開発できた。次いで、新たに調製したオキサゾリジノン樹脂を固相Evans不斉アルキル化反応の条件に附したところ、通常の液相合成法に匹敵する高いレベルの1,4-不斉誘導を実現させることが出来た。また、ポリマー担持型試薬のアドバンテージである不斉補助基樹脂の回収・再利用についても成功し、これら一連の実験結果をTetrahedron誌上にて報告した。 以上のように、α-ヒドロキシ-β-アミノ酸の構造的特徴を端緒に、新規ポリマー担持型Evans不斉補助基をデザイン・合成し、その力量を実証した。今後、基質型HIV-1プロテアーゼ阻害剤の詳細な構造活性相関研究を行うにあたり必要となる各種キラルビルディングブロックを、本固相不斉合成ツールが効率的に供給するものと思われる。
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Research Products
(1 results)