2004 Fiscal Year Annual Research Report
唐津焼の叩きの技法及び藁灰釉と柿右衛門様式の型打ち成形及び濁し手との比較研究
Project/Area Number |
04J54281
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
松下 広樹 九州産業大学, 芸術研究科, DC2
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Keywords | 叩きの技法 / 藁灰釉 / 唐津焼 / 壺 / 型打ち成形 / 長石 / 濁し手 / 柿右衛門様式 |
Research Abstract |
(資料収集) 佐賀県 九州陶磁文化館 東京都 東京国立近代美術館(工芸館)、東京国立博物館、松岡美術館、根津美術館、戸栗美術館 他 愛知県 愛知県陶磁資料館、マスプロ美術館 他 金沢県 九谷陶芸村、中村記念美術館、石川県立美術館、石川県九谷焼美術館、九谷焼窯跡展示館 他 (その他:福岡県・山口県・長崎県・岐阜県・大阪府・宮崎県・京都府) (藁灰釉研究結果と考察) 長石は釉薬を作る上で、出発原料となる必要不可欠なものであり、より釉薬を安定させるものである。数多くある全国各地の長石の中から、藁灰釉にあう長石を探すことで、古唐津に近い藁灰釉を目指した。今回、11種類の長石を用い、研究した。その結果、現段階においては、平津長石・中国長石が目指している藁灰釉としての原料としてよい調合結果を得た。これからも、引き続き、調合試験を繰り返し行う。課題として、焼成温度の設定の問題がある。古唐津における藁灰釉の焼成温度が明確ではない。その為、それぞれの長石を単味でも焼いたが、釉薬として藁灰釉を作る上で、長石だけではなく、藁灰や土灰も加える為、一概に、長石だけで熔けるわけではないので、藁灰や土灰との関係をしっかり把握する必要がある。その上で、これからの研究において焼成温度を定めていく必要がある。 (古窯との比較研究結果) 唐津と他の古窯の壺を比較研究したところ、全ての窯において、須恵器窯との関係が見られた。そのことからも、朝鮮半島からの帰化人との関係が立証できる。また、どの窯も壺、甕、鬼桶、擂鉢、徳利などの日常雑器を作り続けている点も注目される。唐津陶も日常雑器性の強い窯の一つであるからである。研究として叩きにおける壺の造形を中心としたが、この点において、越前・常滑の壺において共通点が多く見られた。今後の課題としては、須器窯の歴史、唐津の源流といわれる朝鮮半島の古陶、朝鮮半島からの帰化人との関係を加えながら研究を進める。
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