2004 Fiscal Year Annual Research Report
発生における遺伝子の空間的・時間的発現パターンと染色体のダイナミクス
Project/Area Number |
04J61619
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 あかね 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNAメチレーション / 5-aza-deoxycytidine / 発生異常 / オリゴアレイ / カタユウレイボヤ |
Research Abstract |
カタユウレイボヤの初期胚を用いて、発生におけるゲノムのメチレーションの役割を調べた。具体的にはカタユウレイボヤの受精直後の卵にゲノムDNAのメチレーションを阻害する薬剤である5-aza-2'-deoxycytidine(5-aza-Cdr)を作用させてメチレーションを阻害し、発生に異常が起きることを確認した。受精したカタユウレイボヤの卵を培養する海水に5-aza-Cdrを1μM以上になるように溶解し発生を観察すると、神経胚になるあたりから正常胚と比較して発生に遅延が見られ、正常胚が尾芽胚になる頃には発生が停止する。その後培養し続けると、細胞死が起こり胚は死に到る。正常尾芽胚と正常胚が尾芽胚となる時間の実験胚の両者のサンプルからゲノムDNAを抽出し、メチル化されたシトシンの部分でDNAを切断する酵素であるMcrBCで処理すると、5-aza-Cdrで処理したサンプルは正常胚のサンプルに比べて切断部位が減少していることが確認された。つまり、ゲノムのメチレーション阻害によって5-aza-Cdr処理胚ではゲノムのメチル化部位が減少しており、5-aza-Cdrの影響によりメチレーションが阻害されたことが確かめられた。よって、5-aza-Cdrによる発生異常はDNAのメチレーションパターンの変化による転写産物の種類や量の変化によって引き起こされているものと考えられた。この転写産物の変化を調べるため、次に正常胚が尾芽胚となる同じ時期のメッセンジャーRNAを抽出し、カタユウレイボヤのオリゴアレイを用いて転写産物の比較を行った。現在その解析を進めている。
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Research Products
(1 results)