2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J84104
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石井 勲 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 充填スクッテルダイト / クラスレート / ラットリング / 超音波 |
Research Abstract |
現在,国際的に注目を集めている充填スクッテルダイト化合物は,希土類元素がカゴのように配置した他の元素に囲まれた構造をもつ.このカゴの内側の希土類元素は,ラットリングと呼ばれる特異なオフセンター振動状態にあり,このラットリングにより音響フォノンが散乱される為に,カゴ状構造をもつ物質は熱電変換物質としてよい性能指数が期待されている.しかし,ラットリング効果や,その磁性との混成効果は必ずしも明らかではない.我々は,同様のカゴ状構造をもつクラスレートと呼ばれるR_8A_<16>B_<30>物質群に着目した.この中の,非磁性クラスレートBa_8Ga_<16>Sn_<30>のラットリングの有無を調べるために弾性定数を測定した.低周波領域は既存の設備で測定可能だったが,高周波領域は既存の設備では達成するのが困難だった為に,新たに高周波用電気-音響変換素子を購入し測定を行った.この結果,Ba_8Ga_<16>Sn_<30>の弾性率C_<44>において30〜65Kでわずかな周波数依存性があることを見出し,Type-VIIIクラスレートにおいて初めてラットリングを観測した.弾性率C_<44>に周波数依存性がみられたことから,ラットリングの対称性Γ_5であることがわかった.また,ラットリングの緩和時間等を調べるために,超音波吸収測定を立ち上げ,Ba_8Ga_<16>Sn_<30>の超音波吸収を測定した.超音波吸収においても,弾性率の周波数依存性と同じ温度範囲で周波数依存性がみられ,緩和型超音波吸収と考えて解析することにより,ラットリングの緩和時間は3.3×10^<-12>s,励起エネルギーは330K,オフセンター距離は0.156Åであることがわかった.
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Research Products
(1 results)