2004 Fiscal Year Annual Research Report
イネの矮化遺伝子を利用した草型育種に関する基礎的研究
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04J84403
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Research Institution | Nagoya University |
Research Fellow |
春原 英彦 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | イネ / 矮性 / 節間伸長 / 稈 / 穂 / ブラシノステロイド / 耐倒伏性 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
BRs非感受性変異体d61/Osbri1の異なる強さの3アリルを用いて、BRs変異体の形態的特徴付けを行い、BRsがイネの形態形成にどのような作用をしているのか調査した。稈の伸長節間長及び穂軸の節間長の測定、各伸長節間の観察から、イネにおいてBRsは基本的には細胞伸長及び分裂活性を促進する役割をしていると考えられた。しかし、穂軸の最下位節間においては、細胞伸長・分裂活性を抑制する可能性が考えられた。さらに、介在分裂組織の分裂面の制御にも関与している可能性が示唆された。また、穂の計測から、BRsは稈のみならず穂軸節間の非伸長性にも関与していることが示唆された。しかし、アリル間の差は認められず、稈に比べ穂におけるBRsの作用は弱いと考えられた。穂軸の側性器官である枝梗、穎花はBRsの影響は受けづらいことが示唆され、イネのシュート軸に沿って強く作用していると考えられた。 節間伸長パターンはdm型だが、草型がBRs変異体と異なる7変異体を集めた。これらがBRs変異体であるのか検証したところ、6系統はBRsが原因でない可能性が示唆された。 上記の7系統の一つ、Ssi1変異体は、優性の半矮性変異体で、安定した稈の第2節間の非伸長を示す以外ほとんど異常形態は見られない。そこで、この変異体を用いた品種作成の有用性を検証した結果、耐倒伏性が増加し、その有用性が認められた。 現在まで、矮性を導く機構として解明されつつある植物ホルモンのジベレリン(GA)、BRsの関与以外の原因の可能性について探るため、明らかにGA、BRsの変異体とは草型の異なる極矮性変異体を解析した。この変異体は半優性変異体で、一方向に葉が捻れるという特徴もあり、新規の変異体であることが考えられ、Twisted dwarf1 (Tid1)と名付けた。この変異体の原因遺伝子は、第11染色体短腕上のα-チューブリン様タンパク質をコードする遺伝子である可能性が高く、矮性をもたらす機構として「細胞骨格」というキーワードを加えることが出来た。
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Research Products
(1 results)