Research Abstract |
昨年度,BRs感受性変異体d61/osbri1の異なる強さの3アリルを用いて,BRsがイネの形態形成にどのような作用を及ぼしているのかを解析した.その中で,伸長節間の組織切片の観察から,イネにおいてBRsは基本的には細胞伸長及び分裂活性を促進する役割をしていると考えられ,さらに介在分裂組織の分裂面の制御にも関与している可能性が示唆された.しかし,野生型における節間形成についての解明は現在までほとんど行われていない.そこで,BRs変異体の節間形成の異常をより正確に理解するため,イネ野生型台中65号の節間形成過程を各ステージ毎に詳細に観察した.各ステージには主稈の出葉期を用いた. 私の所属した研究室には多くのBRs関連変異体を有しており,各遺伝子の単離と機能解析が進められてきた.それらの遺伝子間の相互性を調査するためには,それらの間での二重変異体の作出が不可欠である.そこで,多くの二重変異体の作出を行い,それらの形態観察を行った.その中で,osdwarf4とd11の二重変異体は,他の組み合わせのものよりもシビアな矮性を示した.この結果は,OsDWARF4とD11遺伝子の間には何らかの密接な関係があると考えられ,詳細な分子生物学的な解析の結果,これらの遺伝子は同じ経路で重複して機能していることが分かった. 昨年度,極矮性と一方向の葉の捻れを伴うTwisted dwarf 1 (Tid1)変異体の原因遺伝子の座乗位置の決定およびシーケンス解析を行い,第11番染色体に座乗するα-チューブリン様タンパク質をコードする可能性が示唆された.そこで,さらなる詳細な観察,抗体染色法を用いた形態細胞学的解析を行った.また,Tid1遺伝子は優性変異体であることから,野生型にTid1遺伝子を入れた形質転換体を作成した.これらの解析の結果,TID1はイネの第11番染色体に座乗するα-チューブリン様タンパク質をコードする遺伝子であることが確認された. また,昨年度に引き続き新規のdm型矮性変異体の探索も行った.
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