1993 Fiscal Year Annual Research Report
日本・ロシア共同による中央アジア出土中世イラン語文書の研究
Project/Area Number |
05044003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊本 裕 東京大学, 文学部, 助教授 (80107523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIVSHITS V.A ロシア科学アカデミー, 東洋学研究所, 主任研究員
VOROBYOVAーDE ロシア科学アカデミー, 東洋学研究所, 写本部主任
吉田 豊 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (30191620)
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Keywords | 中央アジア / 敦煌 / 写本 / イラン語 / コ-タン・サカ語 / ソグド語 / ペテルブルグ / 東洋学研究所 |
Research Abstract |
シルクロードと通称される中央アジアの各地から、19世紀末以来現在にいたるまで様々な言語の写本が出土しているが、本研究で扱う中世イラン語の分野では、それまでまったく知られていなかったコ-タン・サカ語やソグド語の資料をもたらしており、現在もその解読が進行中である。ロシアはその様な資料を大量に蔵していることでは世界でも指折りであり、それがペテルブルグの東洋学研究所に集中している。ペレストロイカ以後様々な社会的困難にもかかわらず、研究資料の公開と研究者の自由な渡航がここ2・3年で初めて可能になった。日本とロシアのこの分野の専門家の相互訪問を目的とする本研究で、平成5年度には研究代表者熊本と研究分担者吉田をロシアに派遣し、また研究分担者Vorobyova-Desyatovskayaを招へいすることが出来た(もう一人の研究分担者Livshitsの招へいは平成6年度に実現する予定)。 9月に熊本が行った調査では、存在は知られていながら今まで未出版のままであったコ-タン・サカ語の世俗文書(仏典ではない社会経済的な資料)二百数十点の解読を試み、データを携帯した小型コンピュータに入力することが出来た。実質的に十日ほどの滞在期間では暫定的な読みを与えるのに留まったが、帰国後持ち帰ったデータの分析を深めつつある。10月に吉田がロシアでの調査を行った。東洋学研究所所蔵の既出版のソグド語資料に加えて、未出版のソグド語文書を幾つか調査することが出来た。これは類似した字体のウイグル(古代トルコ)語の資料の中に紛れていたものである。12月にVorobyova-Desyatovskayaを招へいし、熊本の調査結果について意見を交換すると共に、在日本の少数のコ-タン・サカ語文書の調査を行った。また東京で三回、神戸で一回、東洋学研究所の中央アジア出土写本や旧ソ連中央アジア地域での考古学的発掘の成果について講演を行った。
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