1993 Fiscal Year Annual Research Report
国際的相互依存の進展と各国政府における政策決定システム変容
Project/Area Number |
05044014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 二郎 北海道大学, 法学部, 教授 (70143352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アンソニー マグルー オープン, ユニヴァシティ, 講師
デヴィッド・ヘルド ヘルド オープン, ユニヴァシティ, 教授
川崎 修 北海道大学, 法学部, 教授 (80143353)
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Keywords | 民主主義 / 国際化 / 政治権力 |
Research Abstract |
1国際的相互依存の指標作成については、主として財政、金融に関する日本の政府、日銀等の統計資料、白書類を集め、基礎的なデータについては英訳し、イギリス側でデータベースの作成の可能性について検討することとなった。 2国際化や主権国家概念の再構成については、現代民主主義国における権力の変容に着目して理論的な検討を行った。従来の政治権力が一つの主権国家を前提としたものであったのに対し、現在はECやG7などの超国家的機関やフォーラムにおけるアジェンダ(政策課題)設定によって各国政府の自立性の低下、権力の空洞化がもたらされている。したがって、政治権力が脱国籍化し、各国の政策形成に対する与件の形成に権力の最大の焦点が移行したことを指摘できる。この点について日英比較を行えば、日本ではG7やガットなどにおける国際的合意の枠組みが国内政治において争点化しにくいのに対し、イギリスでは欧州統合を受け入れつつも、これに対する距離のとり方が国内で従来の政党対立とは次元を異にする政治的対立軸を形成しつつある点が重要である。 3本年度の研究を進めるのに並行して、ガットのウルグアイ・ラウンド交渉が妥結し、日本もコメ市場開放を受諾した。この事例は本研究にとってきわめて重要な意義をもつので、当初の計画には記載されていなかったが、ウルグアイ・ラウンド交渉をめぐる国内政治と国際政治のリンケージについて基礎的な資料集めを行った。この事例研究については次年度論文を発表する予定である。 4国際比較を行う際の前提作業として、日本の議会政治の特徴づけについて選挙における国民の政策選択を中心に論文をまとめた。
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Research Products
(2 results)