1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05044172
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 幸男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (70034634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALEXANDER Ya キエフ産科小児科研究所, 放射線科, 部長
ALEXANDER Bo キエフ放射線医学センター, 細胞遺伝部門, 主任
ROSENSON(DMI(ローゼンソン(ドミトリ) ラジュク) ミンスク放射線医学センター, 循環器疾患, 部長
YEVGENY Cher ミンスク医科大学, 病理学教室, 教授
GENNADY Lazj ミンスク遺伝性疾患研究所, 所長
松浦 千秋 日本細胞病理ラボラトリー東海研究所, 主任
武市 宣雄 広島大学, 医学部, 講師 (20034655)
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Keywords | チェルノブイリ / 原子炉事故 / 放射能後障害 / ヨード131 / 小児甲状腺癌 / 奇形 / 内部被曝 / 広島原爆後障害 |
Research Abstract |
小児甲状腺癌調査:現地研究所で収集された症例の資料、病理組織標本の検索などからベラル-シ、ウクライナで1994年3月現在約250余例の小児甲状腺癌が確認された。この値は広島の原爆による成人甲状腺癌を上回っている。統計解析に必要なベラル-シの経年的な小児人口数も入手できた。ベラル-シの小児総人口平均は約230万人でその中の小児甲状腺癌の発生率は人口10万人に対し事故直後0.08(1986年)から2.26(1991年)と28倍に増加したのが確認された。政治経済状況が不安定で訪問困難だったウクライナからのFAXによる情報も同様の傾向を示している。引き続き資料収集中だが現地で我々が測定した甲状腺ホルモンなどは事故後7年を経た現在では正常範囲内であった。これらの癌の殆んどは乳頭型で且つ1.5cm以上の臨床癌である新しい知見が組織検索で認められた。 奇形の調査:奇形発生の状況は従来までの現地での調査、或は我々の調査でもウクライナよりベラル-シの方が異常が多い。汚染地域からミンスクに集められた資料では人工妊娠中絶児や登録された奇形の何れも事故前より、高濃度汚染地区で事故後の頻度が有意に上昇している。しかし剖検された奇形の内容をみるとダウン症や多指症の様な突然変異を示唆する奇形よりも一般的な多因子性の異常が多い。この所見から奇形発生の誘因として放射能による突然変異も無視できないがその他の環境要因、例えば栄養、社会経済的背景、食品や環境汚染などの複合的要因に依る可能性も示唆される。母体や胎児・新生児の被曝線量の調査および染色体検査もすすめている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 佐藤 幸男: "原発事故と病気" からだのしくみ 日本評論社. (印刷中). (1994)
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[Publications] 武市 宣雄: "チェルノブイリ原発事故被災小児の甲状腺癌発生過程について" 第52回日本癌学会総会講演集. (印刷中). (1994)
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[Publications] 佐藤 幸男: "放射線による先天異常-チェルノブイリ核被災による調査-" 日本先天異常学会誌. (予定). (1994)
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[Publications] Yukio SATOW: "Abnormal Development of the Fetal Brain" The 6th International Symposium on Developmental Disease(in press), (1994)