1993 Fiscal Year Annual Research Report
血流の流体力学的構造と血管内皮細胞の立体的形状の相互関連性の解析
Project/Area Number |
05221239
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10152365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健志 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 講師 (30249560)
木村 昭洋 川崎医科大学, 医学部, 助手 (60204971)
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Keywords | 血流速度プロフィル / 血管内皮 / レーザスキャン顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は微細な流れの構造や局所的な血行力学的因子を詳細に検討し、血管壁細胞の形態や機能などに与える影響を総合的に解析して、動脈硬化病変の局在化の機構、および進展の機序を解明することを目的とした。昨年度には、動脈硬化の初期病変が生じやすい腎動脈分枝入口頭側の局所血流動態が、相対的低ずり速度、流れの剥離と時間的振動性を示すことを確認した。そして本年度は、このような特徴を示す分岐血管内皮細胞の形態的・機能的分布を共焦点型レーザ走査顕微鏡を用いて明らかするため、Fアクチンと細胞核内DNAをそれぞれ蛍光染色剤であるローダミン・ファロイディンとビスベンジマイドにより選択的に染色し、観測、解析を行った。 その結果、腎動脈分枝入口頭側、すなわち低ずり速度、流れの剥離と時間的振動性が特徴的である部位においては、細胞形状は歪であり、その中の核の形状は円形に近く、また細胞内にはストレスファイバはあまり観測されなかった。三次元的には、ストレスファイバは内皮細胞の血管腔側よりも血管壁基底膜側に多く観測された。一方、腎動脈分枝入口尾側あるいは腎動脈分岐末梢部などずり速度が大きい部位においては、細胞形状は流れに添って細長く配列し、核の形状は楕円形を呈してかつ流れの方向に添って配向していた。また、ストレスファイバは流れの方向に沿った走行を示し、かつ細胞内に多く存在していた。このように、局所的な血行力学的因子と内皮細胞の形態が密接に関連していることが明かとなり、局所血流動態が動脈硬化の局所的な発生・進展に密接に関連することが窺われた。 今後、内皮細胞の核および弾性繊維の形状と流れの特徴についての定量的解析を進めるとともに、動脈硬化発症進展と密接に関連している脂質の沈着、透過状況についての計測評価を併せて推進する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小笠原康夫、他: "動脈硬化の発症進展過程の解析-レーザ走査型共焦点顕微鏡による血管内皮細胞の計測-" 計測自動制御学会中国支部30年記念学術講演会. 110-111 (1993)
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[Publications] 徳田周子、他: "レーザ顕微鏡による血管分岐部及び湾曲部における血管壁構造の解析-動脈硬化の発生・進展の局在化の成因" レーザ顕微鏡研究会第11回講演会論文集. 1993. 44-49
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[Publications] 小笠原康夫、他: "血管分岐部内微細血流構造と動脈硬化発症進展過程" 病態生理. 12. 150-154 (1993)
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[Publications] 松本健志、他: "20MHz超音波パルスドプラ血流計測システムによる冠狭窄時の心筋内冠動脈血流パターンの計測と解析" 第7回流れの計測大阪シンポジウム. 11. 7-11 (1993)
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[Publications] Fumihiko Kajiya,etal: "Velocity profiles and phasic flow patterns in the non-stenotic human left anterior descending coronary artery during cardiac surgey" Cardiovascular Research. 27. 845-850 (1993)
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[Publications] 徳田周子、他: "共焦点型レーザースキャン顕微鏡による大動脈-腎動脈分枝部血管壁の3次元的解析:動脈硬化発症・進展の局在化機構" 第32回日本エム・イー学会大会論文集. 31. 331 (1993)