1993 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞におけるアミロイド前駆体蛋白の代謝とその調節-軸索内輸送を用いた研究
Project/Area Number |
05261202
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田代 朋子 群馬大学, 医学部, 助教授 (50114541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 義璋 群馬大学, 医学部, 教授 (50010046)
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Keywords | アミロイド前駆体蛋白(APP) / 軸索内輸送 / 神経突起形成 / リソソーム |
Research Abstract |
アルツハイマー病脳にみられる特徴的な蓄積物である老人斑とpaired helical filament (PHF)は、各々、アミロイド前駆体蛋白(APP)ならびにタウ蛋白という正常脳でも機能している蛋白が、蛋白修飾、蛋白分解などその代謝過程に生じた異常の結果、難溶性の異常構造を形成したものと考えられる。従って、その形成過程の解明には、正常状態におけるこれらの蛋白の代謝経路を明らかにすることが必須であろう。本研究では、神経細胞特有のAPP代謝経路および、軸索内輸送障害に伴うその変化を明らかにすることを目的とし、昨年度に引き続きin vivo 軸索内輸送系を利用するとともに、本年度は更に、初代培養神経細胞の系を検討し、以下の結果を得た。 1.ラット脳の細胞分画を検索し、リソソームに含まれる5.8kDaのAPP断片を見出していたが、各種のAPPペプチドに対する抗体で検索した結果、これがC末端 cytoplasmic domainに相当することが判明した。この断片は、単離リソソームでも生成されることから、リソソームにおける蛋白分解で生じるものと考えられる。 2.ラット坐骨神経を用いたin vivo 軸索内輸送系で、full length APPの順向性輸送を確認した。薬物ならびに結紮法によって軸索内輸送障害を起こし、蓄積させた場合の変化を現在検討中である。 3.生後2週齢ラット後根神経節細胞の培養下における突起再生過程を調べた結果、最初の5-6日間に相当する突起伸展期と、その後の突起成熟期という二つの時期から成り、チューブリンをはじめ主要な細胞骨格蛋白の代謝速度に大きな差異がみられることが判明した。この系はin vivoの状況をよく反映しており、実起の状態によるAPP代謝の変化を調べる上で有用な系であることが確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tashiro T,Imai R & Komiya Y: "Early effects of β,β′-iminodipropionitrile on tubulin solubility and neurofilament phosphorylation in the axon." J.Neurochem.62(印刷中). (1994)
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[Publications] Tanaka K,Tashiro T,Sekimoto S & Komiya Y: "Axonal transport of actin and actin-binding proteins in the rat sciatic nerve." Neurosci.Res.19(印刷中). (1994)
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[Publications] Tashiro T: "Regulation of tubulin organization in the axon." Taniguchi Symposia on Brain Sciences. 16. 183-192 (1993)
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[Publications] 関本澄人,田代朋子,小宮義璋: "培養神経細胞における突起形成と微小管安定化" 神経化学. 32. 232-233 (1993)
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[Publications] 田代朋子・今井礼子・小宮義璋: "IDPN中毒神経における細胞骨格再編成とニューロフィラメント蛋白リン酸化との関連" 神経化学. 32. 360-361 (1993)