1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05271209
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊東 広 東京工業大学, 生命理工学部, 客員助教授 (10183005)
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Keywords | Gタンパク質 / アデニル酸シクラーゼ / 活性型変異体 |
Research Abstract |
三量体のGTP結合タンパク質(Gタンパク質)は、細胞膜を介する情報伝達系においてエフェクターの活性制御を行なう分子スイッチとして重要な役割を果たしている。我々は、脳などの神経細胞膜に特異的に存在するGタンパク質Goのαサブユニットのヒト遺伝子の解析から、C末側のアミノ酸をコードするエクソン7とエクソン8がそれぞれ2個づつ存在し、alternative splicingによりGoα1とGoα2の2種類のmRNAが生成されることを示した。2種類のGoαの生理機能に関しては、未だ不明の点が多いため、各々の生理機能を明らかにする目的で活性型変異Gαを作成しアデニル酸シクラーゼに対する効果を検討した。Gsα,Gi1α,GzαおよびGoα1とGoα2について活性型変異(Rasタンパク質のQ61Lに相当する変異体でGTPase活性の抑制されたもの)を導入したcDNAを作成し、それらをサイトメガロウイルスのプロモーターを持つベクターに組み込んだ。活性型変異GsαのcDNAあるいはセクレチン受容体cDNAと共に上記のcDNAをCOS細胞および293細胞に導入し、細胞内のcAMPを測定したところ、活性型Gi1α,Gzαはセクレチン受容体を介するcAMP生成および活性型GsαによるcAMP生成いずれも抑制したが、活性型Goα1,活性型Goα2では顕著な抑制効果がみられなかった。以上の結果より、Goα1,Goα2はいずれもアデニル酸シクラーゼには直接作用せず、おそらく他のエフェクター系で機能すること、ならびにGi1α、GzαとGoαの間で異なるアミノ酸がアデニル酸シクラーゼの抑制作用に重要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 伊藤明子: "Gタンパク質αサブユニットの活性型変異体の作成と、それらのアデニル酸シクラーゼに対する効果" 日本分子生物学会年会、講演要旨集. 416 (1993)
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[Publications] 伊東広: "最新生体膜システム" 講談社サイエンティフィク(水島昭二,宇井理生編), 182 (1993)