1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05301088
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Research Institution | Tokyo Institution of Technology |
Principal Investigator |
木本 忠昭 東京工業大学, 工学部, 教授 (20052855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雀部 晶 立命館大学, 経営学部, 教授 (00100933)
山崎 正勝 東京工業大学, 工学部, 教授 (20106959)
日野川 静枝 拓殖大学, 商学部, 助教授 (90134832)
慈道 裕治 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80066703)
加藤 邦興 大阪市立大学, 商学部, 教授 (00016495)
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Keywords | 科学技術政策史 / 政策史 / 戦後日本技術 / 日本技術史 / 日本科学史 |
Research Abstract |
本年度は、産業技術部門毎の分析を昨年度に引き続いて行ったほか、全体的な科学技術政策の史的展開の特徴分析を行った。 すなわち、情報産業技術関係では、戦後直後の立ち上がり期には、基本的な水準に止まっていた段階で、この段階では文部省の科学研究費による研究補助政策以外には特段の政策は出されていなかった。しかし、50年代後半になりエレクトロニクス産業が拡大し、またコンピュータの使用範囲が確立してくると、産業政策的な観点からの政策展開が積極的に展開された。技術開発のための金融的援助は、開発資金にとどまらず種々の優遇税制がとられ、さらに国産品使用の行政的誘導措置によって「官庁市場」が成立した。民間にも国産品使用の行政誘導は強力であった。さらに開発に当たっては「技術開発研究組合」にみられるような特定企業群を形成しそれにむけての助成措置が強力に行われた。すなわち、資金援助から開発体制、さらには製造製品の市場確保にいたるまで、いわば丸抱え的な政策が通産省を中心として行われ、戦後のキャッチアップ過程が進行した。こうした政策過程は、企業戦略と表裏一体をなしたもので、公的な「科学技術政策」を逸脱したものであった側面も強い。しかも、行政的には通産省を中心として縦割り行政的に展開された結果、一つには長期的で広範な科学的基盤形成政策との整合がみられず、また関連領域の政策においてもたとえば環境政策での企業保護優先政策の展開によって、公害対策の遅れや、環境セスメント法の廃案、テクノロジーアセスメントの流産等の結果を生み、負の遺産を残した。また、あまりに強烈な企業保護は、1975年頃の自動車の排気ガス対策技術に対する消極的な態度に見られるように企業の技術開発力を弱める面もあった。企業戦略的な水準から脱し、科学技術の基盤整備的な広範な視野に立つことが今後の日本の科学技術政策の課題である。
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Research Products
(2 results)