1994 Fiscal Year Annual Research Report
我が国における歯周疾患の疫学調査とその結果に基づく予防プログラムの作成
Project/Area Number |
05304045
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
長谷川 紘司 昭和大学, 歯学部, 教授 (70014024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 伊八 長崎大学, 歯学部, 教授 (30005087)
池田 克己 明海大学, 歯学部, 教授 (50049350)
高江州 義矩 東京歯科大学, 教授 (60048303)
末高 武彦 日本歯科大学, 新潟歯学部, 教授 (40112966)
加藤 熈 北海道大学, 歯学部, 教授 (60001020)
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Keywords | 歯周病 / 予防プログラム / 疫学 / CPITN / 自然史 / 環境要因 |
Research Abstract |
歯周炎予防プログラム作成に当たり最も重要な基礎的知見はその自然史である。岡本、長谷川は各々異なる特性集団にて、同一個体の経年的調査を行った。長谷川の調査ではポケットの変化よりもアタッチメントレベルの変化が大きく、年齢とともに増加し、特に25歳以降で顕著であった。またポケットが深い方が浅い方よりもアタッチメントロスがおきやすかった。岡本の調査では、歯周病の進行は個人差、部位差が大きく、高齢者ほど進行が顕著であった。 また歯肉炎から歯周炎への変遷を明解にし、若年者からの予防対策が必要である。この観点から、堀内、高江州は若年者における歯周病変の実態とコホート調査および予防処置の効果について検索した。同時にCPITNの問題点の指摘も行われるとともに、被予防処置群では全体的には指標の改善が見られたことが報告されている。 末高、加藤熈は成人の多数集団についてCPITNの調査を行った。その結果、年齢階級が高まるにつれて最大値が高くなり、さらに口腔清掃状態との関連についてその強い相関を報告している。 高齢者における歯科的所見について中垣はケースコントロールスタディーで面接法にて報告している。その結果、残存歯は前歯部が、欠損歯は臼歯部に多く、8020達成者においては、若い時期における甘味に対する依存度や間食傾向がその残存歯数に大きく影響していることが示された。岩山は咬合回復可能年齢を検討した結果、50才前半で治療を行うことが安定した臼歯部の咬合支持を維持するのに必要だと示唆した。 歯科保健状況については地域差が極めて大きい。これについては加藤伊八が高齢者地区でかつ常勤歯科医師の存在しない離島にて調査し、残存歯が歯科疾患実態調査と比べ著しく悪いことを報告し、現在は口腔衛生指導実施による改善程度について検索している。池田は歯周炎患者の生活習慣・環境と病変の進行程度との関連を調査し、環境要因としては、居住地域、職業、喫煙、飲酒、歯磨き習慣や歯磨き時の出血、宿主要因としては性別、全身健康総合判定などが、歯周病の進展程度と強く関連していることを示唆している。集団保健指導のあり方は、個別指導と異なる点が多くその有効性からの検討が渡邊により実施された。その結果、歯科保健指導は毎月一回、三回行うことが有効であった。 宮武は歯科疾患実態調査、国民生活基礎調査、患者調査などの結果を分析し、有所見者率が高率であるにも関わらず、有訴者率が低率であることを指摘した。しかし近年歯周病の有訴者のうち、受療者は43.1%(1986)から59.0%(1992)と増加していた。これは歯科保健事業の拡大の成果とも考えられ、今後さらに進展が期待される。歯周病に対する行動科学的状況について、岩本は自己記入式質問用紙(デンタルチェッカー◯R)の結果と歯周病の状況に高い関連性を認め、また集団への利用により歯周病の自己認識や予防プログラムへの確立への可能性を示唆した。 以上の結果より、歯周病予防を行う上では比較的若年者を対象とした方が予防効果が高いと思われた。また歯周病の自己認識も乏しいことから集団を対象とした質問用紙などの利用により、疾病の自己認識を高めていくことも予防を行う上で重要であると思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 宮武光吉: "21世紀の歯科疾患の動向をみる-歯科疾患実態調査から" 日本歯科医学会誌. 14(印刷中). (1995)
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[Publications] 水野輝久,他13名: "常滑市における80歳歯科健康調査" 口腔衛生学会雑誌. 44. 161-169 (1994)
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[Publications] 米田栄吉,他4名: "CPTINによる女子若年者における10年間の歯周疾患の疫学的研究" 日本歯周病学会誌. 36. 634-641 (1994)
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[Publications] 徳山礼子,他2名: "中程度の歯周炎を有する女子若年者に対する刷掃指導の効果" 日本歯周病学会誌. 秋季特別号. 124- (1994)
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[Publications] Morita,M.,他6名: "Effect of dental health programs on periodontal disease in communities" Dentistry in Japan. 30. 102-105 (1993)
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[Publications] 加藤伊八,長田豊: "地域医療の実践-離党医療学-成人・高齢者" 神陵文庫, 117-122 (1994)