1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05401021
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Keiai University |
Principal Investigator |
飯野 由美子 敬愛大学, 経済学部, 専任講師 (60232138)
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Keywords | ドイツ / 貯蓄銀行 / 民営化 / 公営銀行 / ドイツ統一 / 独占委員会 / 規制緩和 / 金融革新 |
Research Abstract |
平成5年度の課題は、ドイツにおける公営貯蓄銀行の民営化議論のサーベイ及びその評価、そして貯蓄銀行を含むドイツの各金融機関に関する諸々の統計データ、資本市場関係の統計データ、さらに広くドイツの経済マクロデータを蓄積していくことにあった。 この課題に対応して、今年度は、第1に、貯蓄銀行民営化とはどのような内容を含んでいるのか、また貯蓄銀行民営化がなぜ今激しい議論の対象になるのか、貯蓄銀行民営化がどのような帰結をもたらすのか、その評価を論文にまとめた。 その内容を手短にまとめると、貯蓄銀行民営化議論は、92年7月の独占委員会報告で、貯蓄銀行が市町村所有にあるということはサブシディアリティ原則に反する点、ドイツ統一後の地方財政の赤字は貯蓄銀行民営化により著しく改善される点を根拠に、貯蓄銀行民営化を要求したところに端を発するものである。この主張が、その後戦後最悪に陥ったドイツの景気・空洞化問題に対処する競争力強化の観点からさらに強く現実的な議論に発展した。しかし、この民営化議論は戦後のドイツの金融構造変化・金融革新を背景にしており、民営化・規制緩和が金融システムの安定性をおびやかす危険をもはらんでいることが明らかにされた。ただし、この論文は未発表であり、ドイツ語ないし英語になおしてから大学紀要に掲載の予定である。 第2に、各金融関連ないし資本市場関連統計データの蓄積については、ドイツ連邦銀行の出しているディジタル化されたデータを民間データベースと契約する事により、オンラインで要領よくとることが出来た。現在、ダウンロード済みのデータの内容を1つ1つ確認中である。
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