1993 Fiscal Year Annual Research Report
巨大企業体制の地方分散に関する実証的研究-トヨタの北海道進出を中心に
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05451034
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
村上 文司 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (40210017)
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Keywords | グローバル企業 / 巨大企業 / 地方分散 / 国際化 / 現地化 / 地域密着型経営 |
Research Abstract |
輸出依存型企業からグローバル企業への転換は、90年代に入って浮上した巨大企業の地方分散の背景や動向を把握する際の重要な視点である。80年代、貿易摩擦の主役におどりでた自動車産業は、急速な国際化(グローバライゼーション)の渦中にあり、プラザ合意(85年)以降の急激な円高で海外進出した企業の経営の現地化(ローカライゼーション)が急速に進展する。グローバル企業への移行と近年の巨大企業の地方分散は密接な関連をもつ。北海道進出に際してトヨタは、海外での生産拠点づくりの経験を踏まえて、現地法人化による工場建設、地域密着型の経営・雇用・労働条件の整備、意欲ある地場企業の育成等、地域社会への貢献を表明し、経営の現地化を押し進める。また、米国法人トヨタ・モーター・マニュファクチャリング(TMM)への輸出と米国向け輸出車に搭載される自動変速機を主力製品とするトヨタ自動車北海道は、トヨタの世界戦略の中でユニット部品供給の主力工場として重要な位置を占めている。今年度の関連諸機関での聞き取りや新聞報道等の収集資料に即して見る限り、最近の業績悪化や地場企業の参入問題に多少の懸念はあるが、進出を受け入れた地元地域社会(苫小牧市、北海道)の認識は、総じて好意的である。 トヨタ自動車北海道は、現在、当初から予定されていた平成7年度の従業員700人体制の確立に向けて、今年11月に操業を予定するトランスファー(四輪駆動車の駆動切り替え装置)の加工・組み付け機械の据え付けが行われている。グローバル経営への転換の中で、関連企業の進出を含めた経営の現地化が今後どのように推移し、従業員や地元地域社会にどのような影響を及ぼすかは次年度以降の調査の課題となる。
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