1994 Fiscal Year Annual Research Report
巨大企業体制の地方分散に関する実証的研究-トヨタの北海道進出を中心に
Project/Area Number |
05451034
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
村上 文司 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (40210017)
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Keywords | グローバル企業 / 巨大企業 / 地方分散 / 自動車不況 / 地域密着型経営 |
Research Abstract |
90年代初期のバブル絶頂期に浮上した自動車産業の国内分散の動向は、その後の長引く平成不況や急速な円高の進展に対応して、ややかげりが見られる。輸出型成長の限界を克服するグローバル企業への転換、21世紀のあらたな生産体制の再構築に向けて開始された自動車産業の生産拠点の国内分散については、90年代後半に顕在化する若年労働者不足に備えての脱3K職場ずくりと自動化による効率向上を実現するための先行投資と肯定的に見る評価がある半面、国内市場の成熟や急速な円高の進展、部品の共通化、部品点数の削減、車型の統合など長引く不況に対応して進む分業・下請構造の再編等の経営環境の急激な変化に対応して自動化設備が有効活用されていないといった否定的な評価も広がりつつある。 平成6年度(94年度)は、九州、北海道への新たな生産拠点づくりが進む巨大企業トヨタ自動車の国内分散の動向に焦点を置きつつ、トヨタ自動車北海道の現状についての聞き取り調査を行い、立地段階から操業段階へと進む展開過程に即して、社内報に掲載された転籍・出向のデータを整理し、親会社からの労働力異動の実態を考察するとともに、北海道進出を予定していた関連企業の参入予定や、トヨタ北海道(苫小牧)周辺への企業立地の動向、豊田市での人口移動の動向を調査した。また、不況との関連については、自動車総連等での近年の不況の動向に関連する対策、対応を国内分散の動向と関連づけて聞き取り調査、資料収集を行った。親会社からの従業員異動は、ほぼ止まり、関連・下請企業の立地動向も減少、むしろ「空洞化」に対する懸念が増大していることが明らかになりつつある。 平成7年度は、90年代前半の急激な経営環境の変化と関連づけつつ、過去2年間の調査で得た知見に次年度予定している地域密着型経営に関する補足調査の結果を加えて、北海道社会学会で中間的な報告を行い、報告書をまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)