1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05451062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鎌田 元一 京都大学, 文学部, 助教授 (50092747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 真司 京都大学, 文学部, 助手 (00212308)
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Keywords | 官印 / 内印 / 外印 / 国印 / 倉印 / 東大寺文書 / 栄山寺文書 / グラフィックス処理 |
Research Abstract |
1)印影ある古文書原本の調査と検討 天理図書館、栄山寺、内閣文庫、東京国立博物館、早稲田大学附属図書館、国立歴史民俗博物館に所蔵される古文書原本を調査し、詳細な調書を作成した。また調査した古文書については、焼き付け写真またはポジフィルムの形で印影の写真を収集し、整理した。これにより、栄山寺文書の全てと東大寺文書の多くの部分の調査を終了したことになる。調査の過程で、栄山寺文書に捺された大和倉印の変遷がほぼ明確になり、また太政官印の捺印作法の痕跡が古文書原本に窺われることなどが判明した。 2)古代官印に関する文献史料の検討古代官印について述べた文献史料を収集し、数度にわたって検討会を開催した。天子神璽・内印・外印・諸国印・大和倉印・東大寺印の使用法の概要が明らかとなり、原本の調査・観察にあたっても有益な基礎知識となった。今後もこの検討会は継続し、順次、成果を文章のかたちで発表していく予定である。 3)コンピュータ・グラフィックス処理による各印影の復原 Macintosh Quadra800を用いて印影の復原に関する基礎実験を行なった。印影の焼き付け写真からの自動トレース(Adobe PHOTOSHOPによる)、ゆがんだ印影の複原(flo'およびCorel DRAWによる)などを試みたが、大量処理のためには操作の習熟とマニュアル化が必要である。またトレースには、(1)自動トレース処理をして重ね合わせる、(2)ベジエ曲線を用いて手作業でトレースする(各文字の中心線と外枠)、の二つの道があるが、現段階では(2)のほうが実用的であるとの感触を得た。更に実験を重ね、大量処理段階に進みたい。
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