1993 Fiscal Year Annual Research Report
都市内人口移動の地理的場に関する研究:金沢市の事例
Project/Area Number |
05451136
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石水 照雄 名古屋大学, 文学部, 教授 (60109238)
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Keywords | 都市内人口移動 / 地理的場 / 金沢市 |
Research Abstract |
本年度は、都市内居住地移動それ自体の都市空間における展開の中に空間構造を探求し、併せて都市内居住地移動と都市内地域構成との関係を検討した。 すなわち、金沢市を研究事例として、1989-92年間について、同市全体および国勢統計区単位で、都市内居住地移動を展望し、とくに1990年の同市における都市内地域特性と1991年の都市内居住地移動との関係について、計量分析を行なった。 その結果、(1)転出超過地域から転入超過地域への居住地移動を反映した「空洞化現象」が見られること、(2)都市内居住地移動ベクトルの空間的展開を経年的に見ると、地理的位置による方向偏倚が明瞭であること、(3)都市内居住地移動の発生および吸収両者に関する空間的自己相関の存在が推定されること、(4)都市内居住地移動および吸収両者に関する円形統計量は、年次間で殆ど変化していないこと、(5)都市内居住地移動と都市内地域特性の関係についての重回帰分析結果によれば、高齢者を含む世帯率は各流動性指標に対して負の効果を、また2人世帯率は正の効果を、それぞれ示すが、核家族世帯率は流動性指標によって正あるいは負の効果を示していること、(6)都市内居住地移動と都市内地域特性の関係についての主成分重回帰分析結果によれば、転居出流動性に対しては商業地域および給与所得者集合住宅地域を説明変数とする2独立変数モデルの適合度が良好であり、転居出流動性の全変動の81%を説明すると見積もられること、また近距離転居に対しても、それら両者を説明変数とする2独立変数モデルの適合度が良好であり、それら両主成分は、近距離転居の64%を説明すると推定されること--等の知見を得た。
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