1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453025
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
鈴木 俊法 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (10192618)
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Keywords | 化学反応 / 量子力学 / 共鳴 / 画像観測法 / エテレン |
Research Abstract |
平成五年度は、助成研究の初年度として、実験装置の建設を中心に研究を進めた。まず、画像観測装置の動作を確認するために、交差分子線実験に先立ち、単一分子線を用いた光解離過程の画像観測を行った。研究対象としてクロロエチレンを選び、その(pi,pi^*)状態を励起し、解離生成する塩基原子の空間分布(微分断面積)を、スピン-軌道状態を選別して観測することに成功した。トランス、シス、1,1-の三種類のジクロロエチレンについて、193、210、235nmの三つの異なる波長で光解離させ、生成する塩基原子の2P_<1/2>,2P_<3/2>状態をそれぞれ選んで、微分断面積を求めた。その結果、光解離過程は、(pi,pi^*)状態から(n,sigma^*)状態にポテンシャル交差して生成する経路と、(pi,pi^*)状態から基底電子状態に内部転換して熱的な解離を起こす経路の二つが存在していることが明らかとなった。また、スピン-軌道状態の分岐比はこの二つの経路について大きく異なっており、このような微細構造を含めた反応動力学の解明を、ab initio計算との比較を交えて進めていこうとしている。一方、このような実験によって、画像観測装置が正常に動作していることが確認されたため、水素原子線の交差分子線実験に研究を進めた。その結果、水素原子線は計画通りに発声しているこが確認された。この時点では、真空チャンバーの排気速度が十分でなかったために、反応に由来する信号を得ることはできなかったが、注文したポンプ類が届いたので、これを接続、真空検査して、取り組もうとしている。
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