1994 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の雄が分泌する性フェロモンに関する化学生態学的研究
Project/Area Number |
05453165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 律夫 京都大学, 農学部, 助教授 (30135545)
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Keywords | フェロモン / 昆虫 / マダラチョウ / ミバエ / ゴキブリ / 化学生態学 |
Research Abstract |
昆虫の性フェロモンの多くは,雌が分泌し遠くの雄を誘引するか、直接接触することによって雄を性的に刺激する物質である。逆に雄が分泌し雌に作用するフェロモンについての研究例は少ない。雌がフェロモンを放出する場合でも雄がフェロモン源に到達したあと,何らかの相互認知段階を経て交尾に至る。その過程で雄側からのフェロモンが作用している場合も多いと考えられる。数種の鱗翅目,双翅目ならびに直翅目について雄フェロモンの機能および化学的性質の解明を目的に以下の研究を実施した。 1)鱗翅目昆虫の雄フェロモン マダラチョウ類の雄はヘアペンシルをひろげ雌にプロポーズする。オオゴマダラ雌は,雄のヘアペンシル成分に対して鋭敏に反応し、交尾受け入れポ-ズをとることが実験的に明かになった。ヘアペンシル成分を化学的に分析した結果、ピロリジディンアルカロイドに由来するフラグメントのダナイドンとネシン酸β-ラクトン、新規のモノテルペンチオエーテルなどの存在を明らかにすることができた。これらの揮発性物質混合物は、雌に対して粗抽出物と同等の高いフェロモン活性を示した。 2)双翅目昆虫の雄フェロモン ミカンコミバエの雄の直腸腺から分泌される揮発性成分の雌および雄に対するフェロモン作用について調べた。また、雄ミバエ誘引植物に含まれるフェニルプロパノイド関連物質の直腸腺への取り込みについて分析した。クウィーンズランドミバエ雄の蓄積するフェロモン腺成分についても明らかにした。 3)直翅目昆虫の雄フェロモン チャバネゴキブリの雄は背面より分泌物を放出し、雌がこれをなめる間に交尾する。雄成虫より背面腺組織を摘出し、その抽出物の雌に対する効果ならびに成分検定を行った。その結果、メタノールに可溶の画分より成熟雌に対する摂食刺激性の活性因子を得ることができた。複数成分が関与していることから、現在それらの成分の精製を行っている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] R.Nishida: "A Cyanoglucoside,sarmentosin,from the Magpie moth,Abraxas grossulariata,Geometridae:Lepidoptera." Phytochemistry. 36. 37-38 (1994)
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[Publications] R.Nishida: "Oviposition stimulant of a zerynthiine swallowtail butterfly,Luehdorfia japonica." Phytochemistry. 36. 873-877 (1994)
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[Publications] C.S.Kim: "14-Deoxyparsonsianidine N-oxide:A pyrrolizidine alkaloid sequestered by the giant danaine butterfly,Idea leuconoe." Biosci.Biotech.Biochem.58. 980-981 (1994)