1993 Fiscal Year Annual Research Report
大深度立坑を利用した実スケール雲化学実験に関する基礎的検討
Project/Area Number |
05453197
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
福山 力 国立環境研究所, 大気圏環境部, 室長 (90011642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 幸雄 北海道大学, 工学部, 助教授 (00100058)
村野 健太郎 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究員 (40109905)
内山 政弘 国立環境研究所, 大気圏環境部, 主任研究員 (20160294)
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Keywords | 雲化学 / 立坑実験 / 人工雲生成 / 雲粒径 / 熱線式水滴径測定装置 / 雲粒内反応 / 酸性雨生成 |
Research Abstract |
平成5年7月、立坑の現地視察を行い、坑道の大きさ、気温、湿度、風速等の基本データを得、また既設の測定用エレベーターについて、測定器設置のために利用し得る空間的寸法、電源容量を調べた。さらに坑底および坑道排気口における固定測定点を確認し、坑道内への機材の搬入方法、エレベーターの運転方法、坑内外の通信方法等についての打ち合せを行なった。また搭載機器の一つとして、サイクロンにより水滴を分離したのち含浸フィルター法でガス(二酸化硫黄およびアンモニア)および粒子を捕集する装置の設計・製作を行なった。ついで、その他のもの(熱線式水滴径測定装置、二酸化硫黄濃度計)を含めた測定装置の搭載に必要な器具を製作した。8月9日から約1週間にわたって行なわれた観測には準備の都合上直接の参加はできなかったが、このときに採取された雲水、地下水試料の提供を受けてイオンクロマトグラフによる化学分析を行い、硫酸イオン、塩素イオンおよび硝酸イオンの濃度を定量した。これにより坑内に生成する雲水のバックグラウンド組成に関する知見が得られ、塩素イオンがきわめて高濃度で存在すること、硫酸イオンも雲水内反応の追跡に妨害となりうる程度の濃度であること、これに対して硝酸イオンは微量であることが判明した。ひきつづき9月中旬、熱線式水滴径測底装置を用いた霧の野外観測を行い、装置の安定性やデータ処理系の動作性能を試験した。その結果に基づいてデータ処理プログラムを改良し、また水滴径分布の画像表示プログラムを新たに作成した。さらに、熱線に印加されるベースライン電圧の変動を記録していない、サンプリング効率が悪い、の2点で現有測定系には改良の余地があることが明らかになったので、AD変換ボードを通して印加電圧の全体値をほぼすべてのパルスにわたって直接パーソナルコンピュータに取り込む処理系の製作と試験を行なった。
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