1994 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体前葉細胞の生後発育に対するGHRH並びにGHの作用機構
Project/Area Number |
05454119
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
佐々木 文彦 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60064862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山手 丈至 東京大学, 農学部, 講師 (50150115)
木曾 康郎 東京大学, 農学部, 講師 (10142374)
太田 光明 東京大学, 農学部, 助教授 (20134504)
塩田 邦郎 東京大学, 農学部, 助教授 (80196352)
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Keywords | 視床下部 / 下垂体前葉 / GHRHニューロン / GH細胞 / PRL細胞 / 成長障害 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト成長ホルモン(hGH)の下垂体前葉細胞に対する作用について2つの実験を行った。 1.乳性酸性蛋白導入遺伝子のプロモーター領域とhGHを導入したトランスジェニック(Tg)マウスの成長ホルモン放出因子(GHRH)-GH-体細胞軸を追及した。Tgマウスの血中hGHレベルは対照群より高い。視床下部弓状核のGHRHニューロンは対照群では多数存在するが、Tgマウスではほとんど見られない。下垂体のGH細胞は機能低下している。Tgマウスの体重は対照群のものより有意に大きい。本Tgマウスでは生後発育中に過剰に分泌されたhGHにより弓状核のGHRHニューロンは障害され、その結果下垂体のGH細胞の機能が低下していた。体重増加はマウスの内因性の成長ホルモンではなく、異所性に分泌されたhGHである。本結果は、米国誌Endocrinologyに投稿中である。 2.出生時にグルタミン酸ソーダを投与した成熟マウスでは視床下部弓状核の破壊、下垂体GH細胞の機能低下と成長障害が見られる(Sasaki et al,Anat.Rec.,1994)。グルタミン酸ソーダを投与して弓状核を破壊した群と正常対照群にhGHを30日齢から始めて3週間投与した。hGH投与により、両群共に成長は促進された。正常群にhGHを投与してもGHRHニューロン並びにGH細胞にはほとんど変化はなかった。弓状核破壊群にhGHを投与しても下垂体のGH細胞には変化はない。このように、hGH投与はGHRHニューロンやGH細胞を介さずに直接体細胞の成長を促進したと考えられる。正常群の下垂体のプロラクチン(PRL)細胞の容積はhGH投与により有意に小さくなっていたが、弓状核破壊群ではこのような結果は得られなかった。この結果はhGHが視床下部を介してPRL作用をPRL細胞に及ぼしていることを示しているが、hGHのGH作用がGH細胞に及んでいるとは考えがたい。
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