1993 Fiscal Year Annual Research Report
ニードル型CCD生体顕微鏡と分子血流トレーサによる冠動脈slosh発生機構の解析
Project/Area Number |
05454278
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健志 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 講師 (30249560)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10152365)
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (30163801)
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Keywords | 冠動脈slosh / ビデオ生体顕微鏡 / 分子血流トレーサ / 虚血性心疾患 / 心内膜側易虚血性 / alpha受容体 / ニトログリセリン / 心筋内血流分布 |
Research Abstract |
虚血性心疾患の病態生理上の重要な特徴として、心内膜側心筋が心外膜側心筋より虚血に陥りやすいこと(心内膜側易虚血性)が知られているが、そのメカニズムは未だ明らかにされていない。そこで、研究代表者らは、そのメカニズムとして心筋内冠動脈血流に常に収縮期逆流、すなわち心筋内外を往復する無駄な血流の存在に注目し、これを"冠動脈slosh"と名付け、その意義を追求してきた。 本研究の目的は冠動脈sloshが心筋収縮の心内膜側心筋内へ及ぼす直接効果によって発生するとの作業仮説を種々の条件下で検討した。 麻酔開胸犬を用いて、ニードルプローブ付きCCDビデオ生体顕微鏡のGradientlndex Lensプローブを左心耳より左心室内に挿入し左心室壁に軽く圧着し、心内膜側心筋内の冠細動脈と細静脈の直径の心周期に伴う拍動性の変化を計測した。なお、slosh現象は中隔枝に20MHz80チャンネル超音波ドプラ血流計をアクセスしてモニターした。併せて分子血流トレーサ(^3H-desmethylimipramine:^3H-DMl)を麻酔開胸ウサギの左房に投与し、イメージングプレートを用いて心筋内毛細管血流分布を調べた。 今年度の主たる結果を述べると、(1)ニトログリセリンによる冠血管拡張は心筋内微小血管の拍動特性を増加させて冠動脈sloshを増大させた。(2)alpha交換神経興奮は、冠動脈sloshを減少させたが、alpha_2はalpha_1より効果が大きかった。それにはalpha_1、alpha_2の冠微小血管への効果のsegmentalな差が関与すると考えられた。(3)心筋内血流分布を対照時に計測すると、分布はランダムではなく、ある組織単位で法則性を窺わせる構造をもつことが示され、コントロール時には、100mum以下の単位での血流調節機能の存在が示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Toyotaka Yada,et al: "In vivo observation of Suberdocardial microvessels of the beating porcine neart using a needle-probe videomicroscope with a CCD camera" Circulation Research. 72. 939-946 (1993)
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[Publications] 木村昭洋、他: "心筋収縮性増強および頻脈が冠血管“slosh現象"に及ぼす影響" 第32回日本エム・イー学会大会論文集. 464 (1993)
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[Publications] 森田 浩一、他: "alpha受容体を介する冠血管収縮は心内膜側血流に利するか;slosh現象との関連について" 脈管学. 33. 757 (1993)
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[Publications] Masami Goto、et al: "Characteristics of coronary artery inflow and its significance in coronary physiology" Biorheology. 30. 323-331
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[Publications] 辻岡克彦、他: "心内膜の血管網をみる" 現代医療. 26. 549-552 (1994)
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[Publications] Katsuhiko Tsujioka,et al: "In-vivo observation of subendocardial arteride and venule bya needle-probe videomicroscope with a CCD camera in beating heart" Abstracts of 2nd Eastern Conference on Medical and Biological Engineering. 284 (1993)
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[Publications] Fumihiko Kajiya,et al: "Recent Advances in Coronary Circulation" Springer-Verlag, 14 (1993)