1993 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体硬化症発症における分子生物学的研究-糖尿病性腎症における細胞外基質増生における遺伝子転写制御の解明
Project/Area Number |
05454341
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土井 俊夫 京都大学, 医学部, 講師 (60183498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 之彦 京都大学, 医学部, 助手 (70252434)
横出 正之 京都大学, 医学部, 講師 (20252447)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 非酵素的糖化終末産物 / 細胞外基質 / IV型コラーゲン / 転写因子 / メサンギウム細胞 / 平滑筋αアクチン |
Research Abstract |
糖尿病性腎症は慢性腎不全に陥る病変のうち最も多く重要な疾患であり、その腎症は糸球体硬化症を呈する代表的な疾患である。この糸球体硬化症発症の機構を解明する事は今日腎臓病学における最も大きな課題である。糖尿病の合併症は高血糖並びに生体内の高血糖状態で生じる非酵素的糖化終末産物(AGE)と密接に関連しており、腎症においても重要な役割を果たしていると考えられる。本研究においてAGEが、メサンギウム細胞に働き、細胞外基質(ECM)産生を亢進させる事を明らかにし、それはrun-off法で転写レベルでの異常亢進であった。さらに糖尿病性腎症のECM主要成分であるIV型コラーゲンの遺伝子制御について検討を加えた。IV型コラーゲンのプロモーター、エンハンサーとレポーター遺伝子(クロラムフェニコールアセチルトランスフェレース)の癒合遺伝子をカルシウムリン酸法でAGEで処理した細胞に導入した。その結果AGEがプロモーター、又はエンハンサー活性を亢進させ、転写因子を増加させる事が明らかとなった。又、AGE処理した細胞のプロモーターおよびエンハンサーのメチル化をSouthern法で検討を加えると、cis因子のメチル化も誘導される事が明白となった。メサンギウム細胞の形質変化との関連ではAGEが平滑筋細胞の形質である平滑筋αアクチンの発現も転写レベルで亢進させている事を認め、その転写調節も明らかとなった。この結果、糖尿病性糸球体硬化症の発症機序及び進展機序が分子レベルで明らかにできると考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 土井俊夫: "糸球体硬化症におけるメサンギウム細胞" 最新医学. 48. 135-137 (1993)
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[Publications] 土井俊夫: "腎硬化症とメサンギウム細胞-成因における形質変換の役割" 医学のあゆみ. 165. 855 (1993)
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[Publications] Tanaka M.: "Regulation of apolipoprotein B production and secretion in response to the change of intracellular cholesteryl ester contents in rabbit hepatocytes" Journal of Biology Chemistry. 268. 12713 (1993)
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[Publications] 久世幸吾: "糸球体病変における分子生物学" BIO medica. 10. 913 (1993)