1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454363
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
金澤 曉太郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (90111377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 一成 自治医科大学, 医学部, 助手 (90217331)
岡田 真樹 自治医科大学, 医学部, 講師 (40254924)
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Keywords | 漿膜乳斑 / 癌性胸膜炎 / 癌性腹膜炎 / IL-8 / OK-432 |
Research Abstract |
癌性腹膜炎・胸膜炎治療時における腹腔内・胸腔内滲出細胞(PEC)に関する研究は多数行われている。しかし、PECの起源およびその誘導に関しての報告は少ない。われわれはOK-432による癌性腹膜炎・胸膜炎治療において、リンパ装置の一部と考えられる漿膜乳斑に着目し以下の検討を行った。 1.BALB/cマウスと同系のBAMC-1腹水型腫瘍を用いたOK-432による癌性腹膜炎治療モデルにおいて大網乳斑とPECの継時的変化を検討した。腫瘍移植後48時間の大網乳斑に腫瘍細胞の付着が認められた。OK-432腹腔内投与により大網乳斑の細胞数は著明に増加し12時間でピークに達し以後減少した。細胞構成は投与後3時間では好中球が大部分を占めたが、その後マイクロファージ、リンパ球が増加した。一部では腫瘍細胞を取り囲み偽足を出し接着する好中球、リンパ球を認めた。これらの所見はPECの継時的変化と類似し、また、電顕で大網乳斑の中皮間隙を通過する好中球、リンパ球、(腫瘍細胞)が観察されたことから、PECの起源として大網乳斑の関与が示唆された。 2.OK-432投与の有効性に関連して、早期に誘導される好中球の重要性が指摘されている。今回はこの好中球遊走に関して胸水・腹水中に誘導される遊走因子を検討した。OK-432投与により、好中球増加に先行してまずIL-1β、TNFα、そしてIL-8、G-CSFの著明な増加を認めた。胸水・腹水の好中球遊走能は抗IL-8抗体により阻害され、好中球遊走におけるIL-8の関与が示唆された。現在、遊走因子の産生細胞に関し大網乳斑に着目し、免疫組織化学的、In Situにて検討中である。 漿膜乳斑は腫瘍の転移部位として、また、免疫担当部位として重要と考えられ、今後さらに乳斑構成細胞の機能解析を行う予定である。
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