1993 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎麻酔は下行大動脈遮断に伴う脊髄の虚血性障害を緩和できるか
Project/Area Number |
05454428
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
杉山 和英 久留米大学, 医学部, 講師 (80140721)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 悟史 久留米大学, 医学部, 助手 (60220464)
東 英穂 久留米大学, 医学部, 助教授 (10098907)
大石 一男 久留米大学, 医学部, 助手 (70203700)
無敵 剛介 久留米大学, 医学部, 教授 (60080917)
|
Keywords | 脊髄神経節細胞 / whole cell patch recording / Ca電流 / 局所麻酔薬 / 海馬錐体神経細胞 / 細胞内記録 / 脳虚血 |
Research Abstract |
1.ラット培養脊髄神経節標本にwhole cell patch recordingを行ない、膜電位依存性Ca電流(I_<Ca>)に対する局麻薬の作用を調べた。I_<Ca>波形はマイクロコンピュータ(Macintoch,Centris 650・購入備品)を用いて記録、解析を行なった。その結果、【.encircled1.】テトラカインは脊椎麻酔中の髄液濃度に匹敵する濃度で、I_<Ca>の大きさを50%以下に抑制した。【.encircled2.】テトラカインはI_<Ca>のサブタイプのうちL型I_<Ca>を最も強く抑制し、その抑制効力は膜電位依存性Na電流とほぼ同等であった。【.encircled3.】I_<Ca>に対する抑制効力は、ジブカイン>テトラカイン>ブピバカイン>>プロカイン=リドカインの順で、麻酔効力の順位とほぼ一致した。以上の結果は、脊椎麻酔の機序にI_<Ca>抑制が関与している可能性を示唆する。 2.ラット海馬スライス標本に微小電極を用いて細胞内記録を行ない、無酸素、無グルコース負荷により生ずる急峻な脱分極応答に対する局麻薬の作用を調べた。その結果、無処置群では約5分の潜時で急峻な脱分極を生じ、この時点で酸素、グルコースを与えても脱分極は付可逆的であったのに対し、無酸素、無グルコース負荷前にジブカイン、テトラカイン、ブピバカイン、プロカインのいずれか300muMを投与した群では、脱分極潜時が8〜10分に延長し、且つ約40%の細胞で脱分極は可逆的であった。リドカインとメピバカインでは潜時の延長はほとんど認められなかった。 3.脊椎麻酔に頻用されるジブカインとテトラカインが、in vitroの脳虚血モデルに対し、細胞保護効果を示したことから、今後はin vivoの系において下行大動脈遮断前の脊椎麻酔が動脈遮断に伴う脊髄の虚血性障害を緩和しうるかを実験する予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 杉山,和英・無敵,剛介: "ラット培養脊髄神経節細胞のCa電流に対する局麻薬の作用" 麻酔と蘇生. 29. 251-253 (1993)
-
[Publications] Kazuhide Sugiyama,Takesuke Muteki: "Local anesthetics depress the calcium current of rat sensory neurons in culture" Anesthesiology. in press.