1993 Fiscal Year Annual Research Report
尿中ドーパミンをマーカーとしての腎機能検査法の開発と臨床検査法への応用
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05454586
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉村 學 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (40094453)
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Keywords | 遊離型ドーパミン / 抱合型ドーパミン / 腎機能 / 尿細管 / 尿中ドーパミン / 血中ドーパミン |
Research Abstract |
尿中ドーパミンの由来については、尿中に放出される遊離型ドーパミンは腎尿細管細胞で生成されたものであり、血中遊離型ドーパミン由来でない事を明らかにした。従って、尿中遊離型ドーパミンの測定でもって、腎機能、特に尿細管機能を評価しえると考えられる。又尿中抱合型ドーパミンは腎尿細管由来でなく、糸球体で濾過されたものであることを明らかにした。この事は尿中抱合型ドーパミン濃度測定でもって、交感神経活動の評価は可能と考えられる。各種疾患における腎機能と尿中遊離型と抱合型ドーパミン濃度を測定すると、腎機能低下者では尿中ドーパミン放出量が低下し、腎尿細管障害では遊離型ドーパミンが、糸球体障害者では抱合型ドーパミン排泄量が低下することを明らかにした。腎機能検査法とドーパミン:クレアチニン クリアランス低下者では尿中ドーパミン排泄量が低下し、尿中beta-N-アセチルグルコサミニターゼ(NAG)、beta_2-マイクログロブリン(beta_2-mG)、alpha_1-マイクログロブリン(alpha_1-mG)排泄量と尿中ドーパミン排泄量とは相関することを明らかにした。また、腎でのドーパミン産生を抑制すると、利尿が低下して血圧上昇を来すことを明らかにした。今後は、腎尿細管腔内における遊離型ドーパミンの抱合化、更に抱合型ドーパミンの遊離型化への問題については未だ未解決であり、本年度内に十分検討したいと考えている。また、ドーパミンは腎尿細管内Na^+、K^+ATPase活性を抑制してNa利尿を促す。従って、尿中Na排泄量と相関することから、尿量の影響、経口食塩摂取量との関係につき充分検討する必要がある。尚、腎機能障害は糸球体障害、尿細管障害などと容易に区別出来ないし、又鋭敏に検査する方法がないことから、既在の腎機能検査法と尿中ドーパミン排泄量が相関してとしても解釈に注意する必要があり、実験的に確認する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Manabu Yoshimura: "Role of plasma dopamine for regulation of blood pressure in humans." Advances in the Biosciences. 88. 121-131 (1993)
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[Publications] Manabu Yoshimura et al.: "Estimation of sulfoconjugated catecholamine concentrations in plasma by high performance liquid chromatography." Ann Clin Biochem. 30. 135-141 (1993)