1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05554017
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 宣之 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (30006324)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦高 秀知 (株)宇部興産, 千葉研究所, 主任研究員
渡辺 政隆 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (10006330)
|
Keywords | キラル化合物 / 第3次非線形 / 光学活性 / 光学分割 / 絶対構造 |
Research Abstract |
キラル物質は左右の円偏光に対して異なる屈折率をもち、その差nL-nRに比例した偏光回転を起する。このキラル物質の円偏光依存性の第3次非線形を利用して、レーザー光励起により、プローブ光の偏光面を回転させることが可能となる。偏光面の回転が励起光の強度に依存する材料が開発できれば、光電子材料として応用することができる。本研究では、このキラル非線形光学材料となりうる光学活性パイ電子系化合物の分子設計と合成を行っている。本年はキラル物質を得るのに有効な新規光学分割法の開発と絶対立体化学の決定を行った。 1.カルボン酸の光学分割に有効なキラルプローブの開発 我々はカルボン酸の光学分割にカンファーサルタム誘導体のHPLCによる光学分割が非常に有用で、一般性があり、そのジアステレオマーが結晶性が良く、X線結晶解析により絶対配置が明確に決定できることを明らかにした。この方法を用いて、シクロファン類を含む種々のキラル化合物の合成を行い、絶対立体化学を確立した。 2.アミンおよびアルコール類の光学分割に有効なキラルフタル酸の開発と応用 上記のカンファーサルタム法をアミンやアルコール系に適用するために、我々はキラルコハク酸とキラルフタル酸を設計し、開発した。キラルコハク酸は、それほど分割能はなかったものの、キラルフタル酸は、アミンやアルコールに対して非常に有効なキラルプローブであり、HPLCで分割できた。また、結晶性も良く、X線結晶解析で絶対配置を決定した。 3.キラルシアニン色素合成の試み 上記の光学分割法を用いて、キラルアミンを合成し、キラルシアニン色素の合成を試みている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] N.Harada: "Unique UV-Vis Absorption and Circular Dichroic Exciton-Split Spectra of a Chiral Biscyanine Dye:Origin and Nature." Joumal of the American Chenical Society. 115. 4769-4775 (1993)
-
[Publications] 原田宣之: "CDスペクトルによる非経験的絶対配置決定:励起子キラリティー法とねじれたパイ電子系法" 有機合成化学協会誌. 51. 563-576 (1993)
-
[Publications] 原田宣之: "化学における右と左" 学術月報. 46. 535-542 (1993)
-
[Publications] N.Harada: "A Chiral Probe Useful for Optical Resolution and X-Ray Crystallographic Determination by CD and X-Ray Methods." Tetrahedron:Asymmetry. 4. 1755-1758 (1993)
-
[Publications] N.Harada: "Absolute Stereochemistry of 1-(9-Phenanthryl)-2-naphthoic Acid as Determined by CD and X-Ray Methods." Tetrahedron:Asymmetry. 4. 1789-1792 (1993)
-
[Publications] N.Harada: "Revision of the Absolute Configurations of [8]Paracyclophane-10-carboxylic and 15-Methyl[10]paracyclophane-12-carboxylic Acids." Journal of the American Chenical Society. 115. 7547-7548 (1993)