1993 Fiscal Year Annual Research Report
ZnSe系半導体青色発光素子のオーム性電極材料開発
Project/Area Number |
05555003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正紀 京都大学, 工学部, 教授 (70229970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 彰 シャープ中央研究所, 主任研究員
桜井 武 シャープ中央研究所, 副所長
奥 健夫 京都大学, 工学部, 助手 (30221849)
大槻 徴 京都大学, 工学部, 助手 (10026148)
小出 康夫 京都大学, 工学部, 助教授 (70195650)
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Keywords | ZnSe / 窒素ラジカルドーピング / 分子線エピタキシー / オーミック・コンタクト / Au / 界面反応 / 自然酸化膜 / トンネル電流 |
Research Abstract |
これまでに、p型ZnSeに対してオーム性を示すコンタクト材は、発見されておらず、周期律表のいずれの金属に対してもショットキー型の特性を呈することが報告されている。そこで、初年度は、現在最もオーム性に近い特性を示すAuをコンタクト材として選択し、Au/p-ZnSeの電気的特性と界面反応の様子を調べることによって、界面電気伝導機構を明らかにした。 アクセプタ不純物濃度4×10^<17>〜2×10^<18>cm^<-3>のp型ZnSe膜に対して、Au電極間のI-V特性は、非オーム性を示し、2つのショットキーダイオードの背面接合における特徴を示した。リニアスケールI-Vカーブから決定したしきい値電圧は、アクセプタイオン濃度に反比例して18から5Vまで減少した。また、Au蒸着前に飽和ブロム水系のエッチング液によってZnSe表面を清浄化することによって、しきい値電圧は3V程度減少し、表面の清浄化プロセスが重要であることが判明した。以上の結果から、Au/ZnSe界面に非常に薄い酸化膜層が存在しており、界面を流れる電流は、この酸化層とZnSeの空乏層ポテンシャルをトンネルする熱放出トンネル電流によって支配されていることがわかった。しきい値電圧のアクセプタ不純物濃度依存性は、アクセプタ濃度の増加とともに空乏層が薄くなりトンネル電流が増加するためと説明される。 また、300℃までの熱処理に対して、I-V特性は非オーム性のままであった。X線回折法によって300℃までの熱処理に伴う界面の反応過程を調べたところ、Au-ZnSe間の反応生成物は検知されず、200℃以上においてAu膜が粒成長したのみであった。このことから、Au-ZnSe界面の相互界面反応は300℃までの熱処理に対して、顕著に進行せず、ZnSe表面上に存在する自然酸化膜によって、反応が阻害されているものと考えられる。このために、Au膜はZnSeに対して付着性が非常に悪くはがれやすい。従って、p型ZnSeに対するオーミック電極は、ZnSeとの付着性が良く、自然酸化膜を自動的に破壊する金属を選定する必要があることが結論される。
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