1993 Fiscal Year Annual Research Report
多糖被覆O/Wエマルションのキャラクタリゼーションと生体適合性材料としての活用
Project/Area Number |
05555256
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
砂本 順三 京都大学, 工学部, 教授 (80037811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 茂彦 日本油脂(株)筑波研究所, 研究員
佐藤 征 日本油脂(株)筑波研究所, 所長
奥村 幸久 京都大学, 工学部, 助手 (40243042)
秋吉 一成 京都大学, 工学部, 助教授 (90201285)
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Keywords | 天然多糖類 / 両親媒性 / プルラン / コレステロール / O / Wエマルション / 制癌剤 / α-リノレン酸 / ドラッグキャリアー |
Research Abstract |
天然由来脂質と大豆のごとき脂肪とを水中に分散したときに形成されるO/W-エマルションが、脂溶性薬物キャリアーとして有用であることは既にいくつかの臨床例によっても認められている。本研究者は、極く最近疎水性置換基をもつ水溶性多糖がO/W-エマルションのコロイド安定性を飛躍的に向上させ得ることを見い出した。そこで本研究では、各種細胞特異性を示しかつエマルションのコロイド安定化に寄与しうる多糖類の合成からはじめ、このような多糖被覆エマルションの凝集性・安定性の評価、更にエマルション表面の多糖の細胞認識性を検討し、最終的には、薬物を含有した多糖被覆エマルションによる感染症及び癌の治療の可能性も検討する。今回は、制癌剤として知られる高度不飽和脂肪酸の1種であるα-リノレン酸(ALA)のキャリアーとしての多糖被覆エマルションの有効性について検討した。水溶液中に適量のグリセリド、ALA、およびコレステロール置換プルラン誘導体(CHP)を加え、超音波照射することによりO/W-エマルションが形成された。このエマルションは、静電的反発効果ではなく、油滴表面に吸着したCHPの糖鎖の立体反発効果により水溶液中および血清成分存在下でも優れたコロイド安定性を示した。またCHP被覆ALAエマルションを担癌マウスに静注したところ高い制癌効果が認められた。このようなALAの全身投与による制癌活性発現の例はこれまでに報告されておらず、CHP被覆エマルションがALAの全身投与注射剤形として極めて優れていることが証明された。
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[Publications] 福井洋樹: "Anticancer Activity of Polysaccahride-polyunsaturated Fatty Acid Complex" J.Bioactive and Biocompatible polym.8. 305-316 (1993)
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[Publications] 秋吉一成: "Self-aggregates of Hydrophobized Polysaccharides in Water.Formation and Characteristics of Nanoparticles" Macromolecules. 26. 3062-3068 (1993)