1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05556005
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩堀 修一 筑波大学, 農林学系, 教授 (00012055)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立田 芳伸 鹿児島県農業試験場, 大島支場, 室長
富永 茂人 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90164029)
|
Keywords | ヒビ果 / 組織観察 / 果実品質 / 果実肥大 / 土壌の物理性 / 土壌の化学性 |
Research Abstract |
1.ヒビ発生について走査型電子顕微鏡で組織学的観察を行った。長崎早生、茂木の両品種とも、ヒビの大部分は亀裂が果皮の縦方向に生じ、ヒビの亀裂は外観上観察できる大きさまで短期間で発生したと思われた。亀裂の入り方についてみると、ヒビの始点付近では表皮から1〜3層で細胞と細胞の間が引き裂かれたような状態であり、ヒビの中央部では、表皮から4〜6層の横長の細胞が大きく引き離され、さらには10〜13層のやや厚みのある細胞まで大きく両側に離れて、外観的には表皮付近の細胞層が果実の内側からの膨圧によって横に引き裂かれているようにみえた。以上のことからビワでは果実の表皮細胞が極めて薄く、果実が肥大するにつれて横に伸び、成熟期には最大限度近くまで伸長(あるいは緊張)した状態になっているために、吸水や糖の集積等により果肉の細胞がさらに膨張しようとする場合に、それ以上横に伸びる余裕の無い表皮細胞は物理的(機械的)に裂けてしまうものと考えられた。 2.果実品種と果汁中の糖および有機酸組成を比較すると、両品種とも、ヒビ果では健全果に比べて、果実の横径と果実重量が大きく、着色度が高く、果汁の糖度が高く、滴定酸含量が低く、熟度が進んでいるものと思われた。糖組成をみると、長崎早生ではヒビ果でブドウ糖と果糖含量が高く、ショ糖含量が低かった。茂木ではヒビ果でショ糖、ブドウ糖、果糖含量とも高い傾向にあった。有機酸組成ではリンゴ酸が主体であったが、有機酸の合計およびリンゴ酸含量は健全果のリンゴ酸含量の約半分であった。 3.土壌の化学性、物理性の改良により、長崎早生ではヒビ果の発生率、発生度ともに、また茂木では発生度が低くなる傾向にあった。 4.1果房あたりの着花数とヒビ果発生との関連をみると、1果平均重については、長崎早生では1果房に着果させる個数を多くするほど小さくなる傾向にあったが茂木では差はなかった。ヒビ果の発生率、発生度ともに長崎早生、茂木とも1果房当たりの着果数を多くすると低くなる傾向にあった。
|