1993 Fiscal Year Annual Research Report
外傷性ショック死の法病理学的所見の類型化に関する研究
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05557029
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 庸夫 山形大学, 医学部, 教授 (70004588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 和夫 山形大学, 医学部, 助教授 (10091828)
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Keywords | 外傷性ショック / 播種性血管内凝固症候群 / ショック腎 / 骨髄細胞栓塞 |
Research Abstract |
これまでの1,000余の剖検例からショック死例を選び出し、各種ショック死例について諸臓器の肉眼的所見及び組織学的所見を比較検討したところ、外傷性ショック死例では、他のショック死例ではほとんど見られない、ショック腎の所見(腎の腫脹と、割面では皮質と髄質の境が明瞭になる)、心内膜下出血、急性の胃・十二指腸潰瘍と出血性びらんなどが見られ、また肺水腫も他のショック死例に比し著明に見られるのが多かった。また組織学的所見では、外傷性ショック死例では、肺胞血管内の骨髄細胞の栓塞が特徴的で、その他、微小血栓(播種性血管内凝固症候群:DIC)、肺胞の水腫、ヒアリン膜形成、また腎臓で尿細管拡張、尿細管上皮細胞の壊死、尿細管円柱、ボーマン氏嚢の拡大などがあった。これらは他のショック死例のうちエンドトキシンショック死例などでも認められたが、これらのうち、ボーマン氏嚢拡大が外傷性ショック死例では著明に認められた。その他、肝臓の小葉中心性壊死、心臓の帯状変化や、心筋の散在性壊死なども他のショック死例に比しやや著明に認められた。 外傷性ショック死例に限って、受傷後死亡までの時間によって諸臓器の内眼的特徴を見ると、受傷後死亡までの時間が短い例では、ショック腎の所見、心内膜下出血などが見られることが多いのに反し、肺水腫はほとんど見られないことが多く、死亡までの時間が長い例では肺水腫が著明となり、ショック腎の所見がはっきりしなくなり、胃・十二指腸のびらんが出る傾向があった。組織学的所見では、死亡まで1〜2日の例では、肺の微小血栓や骨髄細胞栓塞とか腎のボーマン氏嚢拡大などに限られるが、死亡まで数日の例では、上記所見のほとんどが見られるようになり、死亡まで1週間程度以上の例では、それらの所見が著明になるが、10日から14日にもなると、肝細胞の壊死や腎尿細管上皮細胞の壊死に修復過程が見られるようになった。
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Research Products
(2 results)