1994 Fiscal Year Annual Research Report
尿、便等の臨床検体によるPCRを用いたがんの早期診断システムの開発
Project/Area Number |
05557059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 俊樹 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30182934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 茂郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30010424)
武藤 徹一郎 東京大学, 医学部, 教授 (20110695)
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Keywords | ras遺伝子 / 突然変異 / PCR / マイクロタイタ-ウェル / 非アイソトープ / 便 / 尿 |
Research Abstract |
本年度の研究計画では、1、検体採取法、2、分析可能な対象の検討、3、変異遺伝子の検出方の検討、4、コンタミネーションの予防法の確認、5、感度と特異性に関して臨床情報との比較検討、等を行う予定であった。検体採取法に関しては、まだ検討中ではあるが、冷凍保存(-80℃)で2週間以上は分析可能であることが明らかになった。分析対象としては、これまで尿及び便については可能であったが、胃液、胆汁については成功していない。変異遺伝子の検出法に関しては、SIヌクレアーゼ法が不適切であることが前年度の検討から明らかになったため、既存の、特異オリゴマープローブを用いて変異を検出する方法の非アイソトープ化について検討を加えた。これが可能になれば、マイクロタイタ-プレートでのアッセイを組み立てることが出来ると考えられる。実際我々は、基礎実験として、臨床検体からドットブロット法によってアイソトープを用いずにras遺伝子の変異を検出できることを示し、第17回日本分子生物学会年会において報告した(第17回日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集、p409、3-2C-268)。この結果を利用した、固相化プローブによるマイクロタイタ-ウェル内での検出については現在検討中である。さらに、単鎖DNAに特異的に反応する化学物質を用いた他の検出法に関しても、現在検討中である。PCR産物によるコンタミネーションの予防法に関しての検討結果から、検査室レベルでの取り扱いでを確実に予防するには、dUTP-Uracil N-glycosylase処理がもっとも適しているとの結果を得た。 これまでの実験からは、本計画において最も基本となる、新たな変異遺伝子の技術は確立しておらず現在も検討中であるが、我々のこれまでの検討から臨床検体を取り扱う基本的な知見は集積されたと考えられる。今後は、利用可能な技術を用いて実際の検体に関する知見を集積して行く予定である。
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