1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05620009
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大塚 滋 東海大学, 法学部, 教授 (80176932)
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Keywords | 概念法学 / イェーリング / 法解釈 / 構成 / サヴィニー / ローマ法の精神 |
Research Abstract |
1860年頃に概念法学から目的法学へと「転向」したと一般に考えられているイェーリングの、その「転向」の実態を明らかにするべく、「転向」の時期を挟んで公刊された論著を分析する、という今年度の研究の成果は、現在までのところ、以下のとおりである。 1.「転向」直後(1861年)に発表された、サヴィニー追悼論文を高須則行とともに訳出し、簡単な分析及び、「転向」前の論文との比較検討を行った。その結果、もし「転向」が真実ならば、概念法学の礎を作ったはずのサヴィニーに対する評価が大きく変化していなければならないのに、本論文においても以前と変わりなく、ローマ法からの精神的自由を保持し実践的傾向を持ったサヴィニーを高く評価していたことが確認され、「転向」の信憑性を弱めることができた。 2.さらに、これが最も重要な作業だが、「転向」を挟んでその版が重ねられた彼の主著『ローマ法の精神』(初版:1852〜1865年、第二版:1866〜1871年)のうち、特に法解釈方法論に関する部分の変化の有無を克明に調べた結果をまとめ、彼が「転向」の前後を通じて一貫して、いわゆる俗説的意味での「概念法学」の批判者であり、現在の方法論にも通ずる「構成」という方法を自己の方法論の中心に位置づけた「構成法学」者であり続けたこと、を実証した。 また、現在は、イェーリングが口を極めて概念法学を揶揄したとされる『法学における冗談と真面目』の訳出作業を高須則行と共同で行っており、平成6年度上半期には少なくとも一部を公刊する予定である。
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Research Products
(2 results)