1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05620016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横田 耕一 九州大学, 教養部, 教授 (80038455)
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Keywords | 集団的人権 / アファーマティヴ・アクション / 発展権 / 国際人権 / マイノリティ / 集団名誉〓損 / 中間団体 |
Research Abstract |
1.従来の[人権」概念と別個に「集団的人権」の概念を採用することの意義と必要性を検討するために、これまでの論議において「集団」概念で把握されてきた「労働組合」や「宗教結社」を「人権」の主体として把握する必要性を再検討するとともに、安易に「集団的人権」の一例とされることのあるアファーマティヴ・アクションを分析することを通して、これらの問題を処理するにあたって、必ずしも「集団」概念を「人権」主体として押さえる必要性はないのではないかとの一応の判断を行うにいたった。ただし、特に「労働組合」については、「発展権」と類似した性格があるのではないかとの疑問が残っており、より一層の検討が必要である。 2.「国際人権」において「集団的人権」の典型例とされる「発展権」の性格を検討する前提として、本年度はこれまで憲法学界においては必ずしも十分に検討されることのなかった「国際人権」についての総括的検討を行った。その結果、国際社会における「人権」の「普遍性・不可分性・非選択性」の承認の一方で、各国の「人権」理解や力点の置き方には大きな相違があることが分かった。また、「発展権」が国際連合の宣言や1993年のウイーン世界人権会議で「人権」として確認されている一方で、西洋諸国においてはこの「権利」について疑問が残されていること、「発展権」の内容が未確定であることなどが一応確認できた。しかし、「発展権」そのものの検討などは今後の課題として残されている。 3.他方、「人種差別撤廃条件」との関係で、差別の対象となる「集団」の名誉権などについて、一応の検討を行ったが、いま少し厳密に詰める問題が残っている。
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Research Products
(2 results)