1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640378
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水貝 俊治 大阪大学, 理学部, 助教授 (50028263)
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Keywords | II-VI族半導体 / ラマン散乱 / フォノン / 光誘起原子移動 |
Research Abstract |
II-VI族半導体をラマン散乱で観測するとバルク・フォノン以外にラマン禁止配置の縦光学フォノンや光誘起原子移動により変化した構造によると考えられる様々な異常フォノンが観測される。それらが結晶表面の性質かバルクの性質かを調べるためにCdTe,Cd_<1-X>Zn_XTeで結晶試料の表面処理(劈開、機械研磨、化学エッチング)を変えて、レーザー光波長、強度、偏光方向依存性を25K〜350Kの温度範囲でHε雰囲気で測定した。バルクの性質としては、(1)入射光と散乱光の偏光方向が平行の時縦光学フォノンの高次ラマン散乱が観測される。その強度はルミネッセンスと重なると非常に増強されるが、昇温課程でルミネッセンスが消えると共に弱くなる。従って共鳴多重散乱はホットルミネッセンスであると考えられる。(2)入射光と散乱光の偏光方向が平行で結晶の<1,1.0>又は<0,0,1>方向に平行の時低温では観測されない72,108,187cm^<-1>のピークが温度の上昇と共に大きくなる。劈開面の時だけ現れる表面の性質として(1)入射光と散乱光の偏光方向が共に<1,1,0>に平行の時低温から高温まで30,56cm^<-1>に小さなピークが存在する。(2)劈開直後のみ入射光と散乱光の偏光方向が共に<0,0,1>に平行の時150K以上で147cm^<-1>にピークが出現し温度の上昇と共に大きくなる。以上の温度変化は可逆的で低温にすると最初の状態に戻る。(3)劈開直後のみ入射光と散乱光の偏光方向が共に<1,1,0>に平行の時250K以上で126cm^<-1>にピークが出現し温度の上昇と共に大きくなる。これは試料の表面に析出したTeによると考えられ、試料の温度を下げると高温で光照射を行った場所だけ新しいピークが残る。新鮮な劈開面は光誘起原子移動に活性で、Teの析出機構としてオフセンター・セルフトラップ・ポーラロンのような機構が考えられる。
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