Research Abstract |
従来からの一個のMCP-PSDを用いた生長率法で,H^+,O^+-H_2,CO,CO_2,CH_4;C^+-C_2H_2,C_2H_4,C_2H_6,C_3H_6,C_3H_8;H^+,C^+-D_2の各衝突系に対して,1電子移行断面積を0.1〜4.5KeVのエネルギー領域で測定した。 1.H^+-CO,CO_2,CH_4:既存のデータが数列ずつあるが互いに食い違っており,今回の測定で明確にした。 2.O^+-CO,CO_2,CH_4:測定例は少なく,CH_4では世界で始めてのデータである。またC^+-CH_4で見られたのと同様な低エネルギー部での断面積の“異常"が観測された。 3.C^+-C_2H_2,C_2H_4,C_2H_6,C_3H_6,C_3H_8:同様な低エネルギー部での“異常"が観測された。オレフィン系のCH_4,C_2H_6,C_3H_8およびパラフィン系のC_2H_4,C_3H_6とで断面積のエネルギー依存性が分類できることが解った。 4.O^+-H_2:C^+-H_2では良く一致した低エネルギーでのXuらの測定値と,異なるエネルギー依存性を示した。 5.H^+-H_2:既存のデータは多数あり,0.2〜4.5KeVではそれらと今回の測定結果はよく一致した。しかし0.14および0.1KeVでは入射粒子の弾性散乱が急に効き始め,通常の方法では正確な測定は極めて困難である。 6.H^+,C^+-D_2:C^+イオンに対してはD_2のほうがH_2より数%大きいものの,両者の結果はほとんど同じであった。H^+イオンも同様であるが,逆にD_2のほうが小さくなった。また低エネルギー部では数10%も小さく,今後再現性を確かめていく必要がある。 一方,5.を考慮して,弾性散乱による入射ビームの発散防止用の八重極イオンビームガイドを用いたビーム減衰法の為のガス衝突室系の設計等の準備も整いつつあり,より低エネルギーでの測定を次年度実施する予定である。
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